初心者からはじめるデッサンの基本|描き方やモチーフ・上達のコツまで解説!
あらゆるアート作品を制作するうえで基本となる技法「デッサン」。デッサンを学ぶことで基礎的な画力が身に付くとともに、絵画の制作力もアップします。そんなデッサンは、自身の中の新しいアートセンスを開花できる趣味として人気が高まっています。この記事では、初心者がデッサンを始めるための基礎情報やそろえる道具、デッサンの練習の仕方まで解説していきます。
そもそもデッサンとは?
基本的に、立体的なモチーフや対象物を平面に描写することを「デッサン」と言います。通常デッサンを描くときは鉛筆やコンテなどを使い、美術の世界では絵画や彫刻、アニメーションのほか建築の分野でも幅広く使用されています。つまり、あらゆる作品制作の基礎となるのが「デッサン力」なのです。
デッサンを練習することによって身に付く力
デッサン力を高めることにより身に付く画力のスキルをご紹介します。
ひとつめは「観察力」。デッサンはモチーフとなる静物や人物をじっくり見ながら描くので物の本質を把握する力がつく、つまり観察力が鍛えられます。あらゆる角度から対象物を観察する練習をしていくうちに、自然とその構造や細かい部分にも気づきやすくなります。
「表現力」も、デッサンの練習により得られるスキル。デッサンは立体的なものを平面に描きだすので、質感の表現法、遠近法や陰影の描き方などの技法も上達し、よりレベルの高いデッサンが描けるようになります。
初心者がそろえるべきデッサン道具
デッサンをはじめるための基本的な道具は非常にシンプルですが、効率良く練習するためには、自分に合った道具を選ぶことが重要。初心者におすすめのメーカーや商品もご紹介しているので参考にしてくださいね。
■鉛筆
デッサンを描くときは、デッサン用の鉛筆を使います。1本だけではなく、線の濃い・太い部分にはやわらかい芯の鉛筆で描くなど、箇所によって使い分けるのが理想です。芯の硬さは10B~10Hまであり、異なる硬さの鉛筆を2本以上持っておくと表現の幅も広がるのでおすすめです。
描き心地バツグンのデッサン用鉛筆 アーティストのために開発されたブランド
三菱鉛筆
ハイユニ アートセット
「ハイユニ」は、アーティストのために「三菱鉛筆」が生み出したオリジナルブランド。グレードの高い鉛筆はプロから初心者まで幅広く愛用されています。
快適に描写練習ができる、10H~10Bまで22種類の鉛筆がすべてそろったセット。なめらかな書き味にこだわり上質素材を使用しているので、デッサンをする人だけでなくデザイナーにもおすすめです。
硬めの芯で濃い線も描きやすいデッサン用鉛筆 文房具の聖地ドイツ発の老舗メーカー
ステッドラー
マルス ルモグラフ鉛筆
ドイツの老舗メーカー「ステッドラー」のデッサン用鉛筆は、世界一を誇る24種のラインナップ。全体的にやや硬めの芯が特徴で、多くのプロアーティストも愛用していることで有名です。
製図用高級鉛筆として開発された、定番人気の「マルス ルモグラフ」シリーズ。折れにくくなめらかな描き心地と、紙への定着性も良くデッサン用鉛筆としてもおすすめです。
■鉛筆の持ち方
デッサンを描くときの基本的な鉛筆の持ち方はおもに3種類。広い面の陰影を描くときには、鉛筆を寝かせて持つ「鉛筆持ち」、力をかけずに大まかな線を描くときには「受け手持ち」、細かい部分を描くときは「順手持ち」にするのが基本です。
■鉛筆を削るときはカッターで
デッサン用の鉛筆は、鉛筆削りではなくカッターで削ります。デッサン用の持ち方で細かい部分を描くためには芯の先端を尖らせる必要があるからです。また、芯を寝かせて広く大きい部分を描くときや太い線を描くときにも自由がきく、という理由もあります。
■消しゴム
デッサンでは、通常の消しゴムではなく「練り消しゴム」を基本的に使います。粘土のようにやわらかいので手でこねて使うのが特徴。プラスチック消しゴムとは異なり、形や量を自由自在に変えることができ修正や色抜きなども可能です。
デッサンに欠かせないやわらか練り消し 使い心地も修正力も文句なし
バニーコルアート
イージークリーナー
絵の具などの画材や美術関連道具を販売する「バニーコルアート」。初心者だけでなくさまざまなアーティストから圧倒的支持を得ている練り消しが「イージークリーナー」です。
とにかくやわらかく、紙を傷めずに消すことができるのが人気の理由。鉛筆だけでなく木炭、パステルやコンテなどにも使用できます。使い心地も良く一個持っておいて損はないでしょう。
■練習用紙
デッサンを描くときに使う画用紙は、さまざまな材質、厚さのものがあります。描くものやどれくらいの枚数を描くかによっても選べますが、表面が凸凹(中目)の画用紙かスケッチブックが初心者にはおすすめ。ある程度の厚さと硬さがある紙なら鉛筆の定着率も良く、デッサンの練習用紙として理想的だからです。
初心者のデッサン練習に最適な紙質 鉛筆だけでなく水彩やイラストにも
ミューズ
サンフラワーペーパー M画 八つ切
はじめての鉛筆デッサン講座や教室などでも多く紹介されているのが「サンフラワー 画用紙」。「A画」よりも厚みがある「M画」の方が初心者のデッサン練習には向いています。
程よい厚みがありながら柔軟性も兼ね備える中目タイプの画用紙です。鉛筆のほか、水彩画やパステル画、イラストなどにも適しています。
スケッチからはじめたい初心者にも 鉛筆なじみ・耐久性も良い
マルマン
スケッチブック 図案シリーズ
子どもから大人まで幅広く親しまれている「マルマン」のスケッチブック。まずはデッサン練習の導入として、手軽にはじめたい方におすすめです。
程よい凸凹感のある紙表面で鉛筆もなじみやすく、吸収率にすぐれているので水彩画にも最適。消しゴムで消しても紙が傷みにくい耐久性もあり、初心者の練習用に重宝するでしょう。
[モチーフ別]初心者のデッサン練習のコツ
道具の準備が整ったところでさっそく実際に描いてみましょう。とは言っても、静物や動物、人物など何から描くべきか迷ってしまいますよね。ここからは、デッサン初心者の練習におすすめのモチーフと練習の仕方のコツについて解説します。
■自分の手
もっとも身近にあり、かつ複雑な形をしている手は、デッサン初心者の練習にうってつけのお題。皮膚の質感や骨の構造、指と指の間の陰影の付け方など、手の描き方ひとつでさまざまな表現法の取得ができるので、デッサン上達にも役立ちます。自分の好きなポーズを何度も描いて練習すると手の形や構造が理解できるようになります。
■幾何学的な立体物
幾何学的立体は、モチーフの形を正確に描く練習、光による影の位置を理解するのに役立ちます。まずは長方形や四角などのシンプルな立体物からはじめて、慣れてきたら球体や円錐形に移行すると良いでしょう。静物カテゴリーの中でおすすめなのが「りんご」。五角形かつ球体のりんごは、シンプルでありながらデッサン練習において基礎的要素が詰まっているモチーフです。
■人物
人物モチーフは基本図形よりも構図が難しいので、デッサンに慣れてきたら挑戦してみましょう。肌の質感や骨格のバランス、目や鼻、髪の毛の表現の仕方などさまざまな技法が必要になってきます。練習方法としては、全身の映る鏡を用意して自分の全体像を描く、デッサン人形を使う、デッサン人形アプリを利用するなど。最近のデッサン人形アプリはデジタル画面で自由にポーズをつけることができ、あらゆる角度からモデルの人形を見ることができます。
■デッサン上達のためのお役立ち本
デッサン練習の効率化を良くしたい、さらに上達のコツを学びたい方におすすめの本、初心者におすすめのデッサン本をご紹介します。独学でマスターするための参考にしてみてくださいね。
動物デッサンに挑戦したい人におすすめ 各モチーフごとのコツを丁寧に解説
基礎から応用までマスター デッサン パーフェクトレッスン
デッサンの基礎を習得した人向けのレッスン本。静物や人物・風景のほか、動物をデッサンする方法も紹介されています。
各モチーフを描くためのテクニックや表現法など、上達のためのコツが丁寧に解説されています。対象物を見て、考えて、表現する力が身に付くレクチャー本として持っておきたい一冊です。
デッサンとスケッチのコツを楽しく勉強 おしゃれでかわいい日記や手帳が描ける
手帳や日記にちょこっと上手に描く お気軽スケッチ教室
技法や表現方法などとは少し違う、楽しいスケッチ本をお探しの方におすすめ。日常で使う日記や手帳にサラっとイラストが描けるようになります。
普段見ているものや感じたことを、少しのコツで思い通りのイラストに。すべてのページがカラフルでおしゃれなので、デッサンとスケッチの基礎が楽しく学べますよ。
■動画や教室でデッサンを学ぶのもあり
最近では、デッサンの描き方講座やチュートリアル動画なども充実しています。文字ではわかりづらい描き方も動画を見ながらだと練習もしやすいでしょう。基礎からきちんと学びたいのであれば、近くの教室に通うのもありです。専門講師によるレッスンが受けられる大人のデッサン教室や講座など、とくに東京や都内近郊エリアで調べればたくさん見つかるでしょう。
デッサンを趣味にしてアートのある生活を
知れば知るほど奥が深いデッサンは、デジタルで絵を描く手法が定番となった現代においても基本となるテクニックです。あらゆる作品制作の基礎となるデッサン力を身につけることで、絵画や水彩画、油絵、イラストや漫画にまで応用することが可能です。「趣味」としてはじめたデッサンが、あなたの新しい「特技」に変わる日も近いかもしれませんよ。