日本酒の酸度は〝酸味(すっぱさ)〟を表しているのではなく、お酒の味わいにうまみをもたらす有機酸の量を示しています。酸度の平均は1.3~1.5ぐらい。酸度が高いと濃醇、酸度が低いとすっきり淡麗に感じます。
■日本酒の香り・味わいは、米の銘柄や精米歩合でどう変わる?
日本酒造りに適した白米を「酒造好適米」、一般的に「酒米(さかまい)」と呼びます。現在栽培されている酒米はおよそ100種類。下表のような代表的な銘柄があります。
使用する米の種類によって日本酒の味わいにも違いが生じるため、酒米の種類には作り手のこだわりも現れています。
酒米は、食用の米と比べると「心白」と呼ばれる米の中心部分が大きいためデンプンを多く含み、麹造りに重要な役割を果たします。一方、米の表層部分には雑味のもととなるタンパク質やビタミンが含まれているため、日本酒造りの際には表層部分を磨く必要があります。
精米歩合が低い日本酒は、米本来の華やかな香りと雑味のない味わいが特徴です。とはいえ、必ずしも精米歩合が低いほどおいしいというわけではありません。精米歩合が高い日本酒には、やや雑味があるもののうまみが出やすいため、人によってはその方がおいしいと感じることもあります。味わいの良し悪しは、それぞれの好みにもよります。
■主な酒米の銘柄
銘柄 | 米の特徴 | 味の特徴 |
---|---|---|
山田錦 (やまだにしき) |
「酒米」の王様ともよばれ日本で最も生産量が多い | 雑味が少なく香りが華やかで繊細な味わい |
五百万石 (ごひゃくまんごく) |
1980年代の新潟を発端とする淡麗辛口ブームを牽引 | キレがよくすっきりとしていてクセが少ない |
雄町 (おまち) |
江戸時代に生まれ酒米としては日本最古の品種 | 心白が大きく軸の太い味。芳醇な香りとコク |
美山錦 (みやまにしき) |
1978年に突然変異で発見された比較的新しい品種 | 繊細な香りを持ちクセのないスッキリとした味わい |
八反錦 (はったんにしき) |
広島県で誕生した酒米。大粒で心白が大きいのが特徴 | 硬いお米なので雑味が出にくく爽快なキレが特徴 |
■酒米の精米歩合
■コレも知りたい!
「醸造アルコール」の添加は悪いこと?
「悪酔いしそう」「質が悪そう」「かさ増しで入れているの?」というマイナスイメージが強い醸造アルコールですが、それは全くの誤解。醸造アルコールは主にサトウキビを原料として発酵させた植物由来の純度の高いアルコールのこと。醪(もろみ)に添加することにより、日本酒の味わいを整えつつ、華やかな香りを引き出しています。また、劣化や腐敗を防ぐ効果もあります。
日本酒の正しい保存方法は?
栓を開ける前は、お店の陳列状態を目安にし、冷蔵庫に入れてあるものは冷蔵庫へ、常温にあるものは常温でもOK。ただし夏場は室内の気温に注意。また紫外線に弱いので新聞紙などに包み、光が当たらないようにすると◎。瓶を横にして保管するとより酸化が進んでしまうので、必ず立てて保管しましょう。栓を開けたら冷蔵庫で保存し、3~5日以内に飲み切るのが理想です。
■製法による日本酒の種類
生貯蔵酒
搾り立ての日本酒をそのまま低温で貯蔵し、出荷時に1度だけ加熱(火入れ)したもの。「生」とつく日本酒の中では、品質管理が比較的しやすいことが特徴。生の風味がそのまま残っています。