代替食品とは?
代替食品とは、ある食材の味や食感・見た目を、別の食材で再現した食べ物のことです。
代替食品はもともと、ヴィーガンなどの菜食主義、宗教上の理由やアレルギーで特定の食べ物を食べられない人など、食の制限がある人に向けて作られていました。
日本の代替食品の歴史は古く、仏教の教えに基づき肉類や魚類を使わない精進料理でも、豆腐を原料に雁の肉に見立てて作られた「がんもどき」など、工夫を凝らした代替食品が食されてきました。
一方、食卓でおなじみのカニカマやマーガリンも代替食品。カニカマはカニの身に似せたかまぼこ商品であり、マーガリンは牛乳を用いたバターの代用品として植物性の油脂をメインに用いて作られたものです。
写真上左より、植物由来の次世代マグロを用いたアボカドマグロ丼、乳製品を使用せず豆乳でできたチーズたっぷりのピザトースト、牛乳を使わない豆乳由来のヨーグルト、動物性原料を使わない大豆ミートの唐揚げ、牛・豚・鶏肉を使わない大豆ミートのウインナー。
急速に進化する代替食品
代替食品には、肉・乳製品・卵を中心にさまざまな種類があります。昔はどこかで“我慢して食べる”感覚がありましたが、今は見た目や食感は本物にそっくり、しかもおいしく加工されたものが続々と誕生。私たちをワクワクさせるような選択肢が増えています。
いま代替食品が選ばれる理由
■サステナビリティの観点
動物性食品の代表である肉や乳製品。じつは家畜(牛、豚、鶏など)の飼育では地球温暖化の原因となる二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスが大量に排出されています。また、広大な農地や飼料生産用の畑、水も必要。食肉の増産は環境に大きな負担をかけていることが知られています。
■健康意識の高まり
菜食主義者やヴィーガンに限らず、健康志向の高まりから「高脂肪で高カロリーの食品を避けたい」という消費者が増え、肉や乳製品など動物由来の食品ではなく、植物由来の原材料でつくった代替食品が選ばれるようになりました。
■増加する“食べられない”人の存在
厚生労働省の調査によると、国民の1~2%が何らかの食物アレルギーを持っていると考えられ、そのほか健康上の理由などで食の制限のある人も増加傾向だそう。そんな中、食の制限があってもみんなと同じように“食〟を楽しみたいという願いに、食品メーカーが柔軟に対応を始めています。
■より手に入りやすく
生産性が低い食品、貴重な食材、高級な食材などを異なる原料から再現することで、大量に、低価格で生産することが可能となりつつあります。
■食物の安定供給
人口増加や気候変動などによる食料危機に加え、ロシアのウクライナ侵攻により世界各地で食料の安定供給が脅かされました。また鳥インフルエンザでの卵の高騰もありました。そのようなさまざまな事情に供給が左右されない点でも代替食品は注目されています。