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福岡麺人生44杯目・ドラゴンロードの古参店 喜龍

福岡麺人生44杯目・ドラゴンロードの古参店 喜龍


「喜龍」
福岡県志免町別府2-14-7
ラーメン450円 カレー500円 かつ定食650円
11時~19時半 日祝定休 ☎︎092・935・2555

 福岡県糟屋郡を走る県道68号沿線はラーメン激戦区で、「ドラゴンロード」なる異名を持つ。その名の理由は、一帯にひしめく店の屋号から。福龍、扇龍、天龍、白龍、チェーン店の金龍まである。車で流してみると、確かに「龍(ドラゴン)」が付くラーメン屋が目立つ。

 志免町の「喜龍」は、なかでも古参の一つである。福岡空港のほど近くにある店を訪ねると、まず豊富なメニューに目を奪われた。ちゃんぽん、焼きそばなどの麺類だけではない。カレー、中華丼、カツ丼。さらには焼肉、野菜炒めなどの定食類も充実している。ドラゴンロード沿いの店は、なぜだかどこもメニューが多いのだ。

多彩なメニュー札が下がる店内

 「品数が多いのは先代の母の頃からですよ」と、2代目の由利美枝さん(56)は言う。創業は昭和46年。母親の西尾幸子さんがのれんを掲げた。ラーメンに関しては全くの素人で、近くの「三洋軒」で習ったという。

 ちなみに三洋軒といえば、志免を代表する老舗である。もともと博多で屋台からスタート。志免に移った後の昭和30年代初頭に店舗化し、志免鉱業所で栄えた炭鉱の町で人気となった。現在、本店こそなくなったが、その系譜にある店が郡内を中心に営業している。

 「喜龍」という屋号は、幸子さんの叔父にあたる水田実さんがつけた。当時、由利さんは小学生になったばかり。こんにゃくで麺上げの練習をする母の姿を覚えている。「売れていたかどうかは分からない」と言うが、ほどなく人気になったようだ。というのは、幸子さんの実弟、水田幸敏さんが喜龍で味を学び、数年後に近くで店を出しているからだ。その名も「幸龍」。今でもドラゴンロード沿いの繁盛店である。

 子どもの頃から手伝いに入っていた由利さんは「継ぐつもりなんて全くなかった」と打ち明ける。しかし、平成2年に父の友介さんが亡くなり、仕事を辞めて店で働き始めた。平成14年には幸子さんが逝去。「お客さんがいるので…」と、のれんを継いだ。

 由利さんが作るラーメンは、「遠慮なく炊いた」という言葉がしっくりくる。茶褐色のスープは濃厚で力強い。別室には五右衛門釜があり、豚骨と鶏がらをガスバーナーで長時間炊いているというのもうなずける。獣臭を感じながら、ずずっとすすった。食べるこちらも遠慮なく楽しめる。そんな一杯だった。

 「私は研究なんてしない。教わったことを忠実にやっているだけ。この味を守りつつ、やれるとこまでやりたい」

 創業から半世紀を迎えた。客のほとんどが常連で、そのうち9割方が「おいちゃん」という。「この先どうなるっちゃろうか」と冗談めかす。定食のご飯を半焼きめしに変えるなどと好き勝手な注文も飛び交うが、できる限り受け入れる。ラーメンは450円。「値上げする機会を逃したんですよ」と笑う。

 ドラゴンロードを代表するだけあり、ラーメンは「龍」という強い言葉が似合う。ただ、この店の本質を突いているのは「喜」の方ではないか。そう思った。


文・写真 小川祥平
1977年生まれ。西日本新聞社出版グループ勤務。
著書に「ラーメン記者、九州をすする!」。「CROSS FM URBAN DUSK」内で月1回ラーメンと音楽を語っている

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