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福岡麺人生48杯目・札幌発、博多の味噌ラーメン えぞっ子本店

福岡麺人生48杯目・札幌発、博多の味噌ラーメン えぞっ子本店


「えぞっ子」
福岡市博多区西月隈5-12-56
午前11時〜午後10時 定休日・毎週火曜日
みそラーメン 660円
☎092・286・1966(営業時間はコロナの感染状況で変更あり)

 味噌ラーメンの楽しみは注文した瞬間から始まっている。福岡市博多区にある「えぞっ子本店」。店主の清武信雄さん(63)は注文を受け、すぐに厨房の中華鍋に火をかけた。強火で熱して油、もやし、味噌だれを投入。鍋を振るとカウンターまで香ばしい匂いが立ち上る。まずは鼻で味わえるのだ。

厨房で麺を茹でる清武信雄さん

 着丼すると次は舌で。豚骨、鶏がら、さば節でとったスープは適度な脂分で優しい口当たり。ニンニクの風味が顔を出し、太すぎない卵麺との相性も良い。濃厚で、分厚い脂で覆われた今どきの味噌ラーメンとは一線を画す。「昔の味噌ラーメンってこんな感じだったのかも」。そんなことを考えていると清武さんが話しかけてきた。

 「創業者の一人である岩本清蔵さんが『味の三平』で習ってきたんです」

 三平は終戦直後に札幌の屋台街で誕生し、味噌ラーメンの発祥の店として知られる。札幌のタウン誌を主宰した富岡木之介が著した「さっぽろラーメン物語」(昭和52年刊)には、豚汁を出していたところ、酔客に「この中に麺を入れて」と言われたのが始まりと書かれている(三平の現店主は否定しているので真偽のほどは分からないが…)。同書は続ける。昭和30年代後半に味噌ラーメンとしてメニュー化されると人気となり、東京や大阪の物産展でも紹介。「札幌=味噌」という図式ができあがった、と。

 その味噌ラーメンに惚れ込んだのが岩本さんだった。札幌に長期出張していた岩本さんは三平に足繁く通って初代店主からレシピを聞き出した。福岡に戻ると知人に商売を持ちかける。その相手が清武さんの叔父でアパレル関係の会社を経営していた川上利明さんであり、清武さんの父、寿さんであった。

 昭和42年、3人は博多駅前に「えぞっ子」を立ち上げる。全員素人。レシピを元に料理人を雇い入れてラーメンをつくり上げた。珍しさゆえだろうか。十数坪の店内で1日千杯近く売った。フランチャイズも急拡大。箱崎ふ頭に土地を確保し、数年後に店を移した。

 清武さんが関わり始めたのは、移転から30年ほどがたった頃のこと。「路上駐車が厳しくなり客足が落ちていた。建物も古くなった。そこで『継がないか』と相談されたんです」。それまではアパレル一筋の人生で、当時は自分の店を持っていた。一方、ファストファッションが売れ始め、業界に限界も感じていた。

 そんな思いから48歳で新たな人生を踏み出す。箱崎で修行後の平成24年、現在の場所に移ってのれんを継いだ。「包丁すら握ったことがなかった」と言うが今は料理人の顔。店を切り盛りする傍ら、福岡、佐賀、長崎のフランチャイズ店に卸す材料を店内でつくる。

 豚骨が主流の九州で、往々にして味噌は苦戦する。北海道から来た本場の店も多くが撤退した。そんな中で長く親しまれてきたのには理由がある気がする。三平のレシピを基本にしつつ、使う醤油、味噌、麺はすべて九州のもの。昔ながらの味噌ラーメンを地元の舌に合うようアレンジしてきたのだ。

 箱崎時代は看板に「札幌」と記していたが、今は外した。

 「博多の味噌ラーメンですから」

 そう語る清武さんはどこか誇らしげだった。


文・写真 小川祥平
1977年生まれ。西日本新聞社出版グループ勤務。
著書に「ラーメン記者、九州をすする!」。「CROSS FM URBAN DUSK」内で月1回ラーメンと音楽を語っている

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