習慣の力はすごい
私の仕事先の予備校では、最近の話題の本の紹介などをして、ネット空間の文字ばかりでなく、書物や新聞の文字にも親しむようにすすめている。先日、消防職員をめざして2年間勉学に励み、見事二つの県の消防職員に合格したI君とゆっくり話す機会があった。I君は、高校から大学に入学した時も受験勉強はほとんどせず、大学生になっても終わりから数えた方が早いくらいの成績だったというが、その彼の合格にいたる勉強法をしっかり聞きたいと思ったからである。その際、I君に紹介された本が『習慣が10割』という本だった。I君が、生まれて初めて自分のお金で買った本だという。
「勉強を日々の習慣にまで定着させたことが合格の一番の要因だと思います。そして、その習慣を受験の日までコツコツ一日も欠かさず続けました。まず勉強のスケジュールを明確にたて、そのための食事や睡眠などの生活時間も守り、体づくりの運動も習慣化しました」。その自分の体験をニコニコしながら話すI君に、習慣をコツコツ続けることの大切さを学んだのである。『習慣が10割』の中に、「日々の小さな習慣の積み重ねがその人の人生まで左右する」とある。I君は大学の勉強も習慣化し、念願の特待生に選ばれたと、ひかえめに教えてくれた。I君、本当に合格おめでとう。
『習慣が10割』
吉井 雅之 著
すばる舎
1,400円(税別)
六百田麗子
昭和20年生まれ。
予備校で論文の講師をする傍ら本の情報誌「心のガーデニング」の編集人として活躍中。