スクラブルにたかぶる
海外旅行ではいつもそうだが、英会話ができるカミさんにコーヒーショップやレストランでの注文を任せっきりにしている。数年前の旅行中に、カミさんが「中学校出たんでしょう!」とキレ気味となり、名誉回復のつもりで英語を使ったらやらかしてしまった。
ハワイのリゾートホテルのプールで競泳用ゴーグルを付けて泳ぐ大人はあまり見かけないが、私はいつもそれで泳いでいた。ある時、カミさんがプールサイドに来て、プールの中を歩いていた私を見て「ゴーグルどうしたの?」と大声で聞いてきた。私は水着のポケットにゴーグルを入れていたのだが〝Ilost mygoggles〟(ゴーグルを失くした)と叫んだものだから、プールサイドでくつろいでいた善男善女が一斉にプールに飛び込んで大捜索が始まった。結局、自分で見つけたふりをして皆さんにお礼を言ってから上がったのだが「おれの英語も通じるな」と自慢したら、カミさんから「バカ」の一言と冷たい視線を浴びた経験がある。
そんなこんなで、いろんな教材や講座、果ては英会話教室まで…あの手この手で英会話習得にチャレンジしてきたが、いまだにものにできていない。さまざまなメソッド(あえて英語を使ってみる)を試し、文法もヒアリングも単語習得も大切なことは分かった。特に単語は常日頃から触れておけば自然と語彙量も増えると思っている。
ふと、会社の引っ越しの際に廃棄処分になりそうだったボードゲームを自宅に持ち帰ったことを思い出した。「スクラブル」英語版だ。簡単に説明すれば、単語を作成して得点を競うゲームだ。手持ちのアルファベットのコマ7個(交換可能)を使い、縦か横に単語を作っていけばよいルールで、コマの得点とコマを置くボード上の場所によってはボーナス得点になり、はまると面白い。
在宅勤務が増え、このコーナーの「挑む」ことも探すに探せないので、スクラブルでカミさんを凹まして原稿にしようと考えた。私は辞書を使ってよいというハンデを付けてゲームを開始した。辞書を味方にすれば勝つのは当然とおごり、たかぶっていたのかもしれない。勝利した方が外食代を持つルールも事前に決めていた。ゲームの勝敗や得点は〝個人情報〟にかかわることなので公表は控えるが、私ばかりがお金を出しているような気がする。
文・写真 岡ちゃん(岡田雄希)
元西日本新聞記者。スポーツ取材などを経験し、現在ブログやユーチューブなどに趣味や遊びを投稿し人生をエンジョイするぐらんざ世代。