決してマネをしないでください
6月28日付け西日本新聞朝刊のくらし面にこんな記事が載っていた。「波に乗るシニアサーファー/ねんりんピック 初の種目に/50、60代からの挑戦者も/ルール守り生涯たのしんで」の見出しで、若者のスポーツというイメージが強いサーフィンを実はシニア世代にこそ楽しんでほしいという内容だった。
実は40年以上前の私もサーファーだった。東京の大学へ進学し、間借りしていたアパート近くに米国カリフォルニアで生活をしていた同級生が住んでいた。彼の部屋の壁にロングボードが飾ってあった。私が「これはカヌーね?」と尋ねると「波乗りのボードだよ」と言うと「来週の休みに湘南に行こうぜ」と誘ってくれた。
第1次サーフィンブーム直前だった。後にサーファーでごった返す前の湘南海岸で思う存分、下手な波乗りを楽しむことができた。先の新聞記事に触発されて「久しぶりにやってみるか」と意気込んではみたが、何年か前にハワイで挑んで溺れそうになり、かみさんから「サーフィンだけはだめ」と禁じられた遊びになってもいる。
でも挑んでみたいと思案している時に、近所の理髪店「バーバーキング ソエル」に行くとスケートボードが何気なく置いてあった。店主のソエルさんに「スケボー貸して」と頼むと快諾してくれた。ただし、ヘルメットや肘当てなど安全装備をするよう約束させられた。人けのない近所の公園へ行き、サーフィンならぬ久々のスケボーに挑んでみた。
正直に言うと怖かった。かつて湘南海岸で波が立たない時間にスケボーで陸上トレーニングをしていた。ところが、今のスケボーはタイヤ(ホイール)の性能がアップしてスピードが出る。乗るには乗れたが以前のようなトリックをする余裕など全くなかった。当時より体重が30キロ以上増えており体力も衰えていた。30分ほど乗ったところで、大ケガをする前に練習をやめた。
そして夜になって気がついた。体幹と普段使わない数々の筋肉を使ったせいで体中に痛みが走り眠れなかった。スケボーは五輪の正式競技となり少年少女が活躍している。私のような年寄りが大ケガをして報道されることで、せっかくのブームに水を差すこともあるまい。私のような経験があるシニアの皆様へのアドバイスも思いついた。「危険です、決してマネをしないでください!」
文・写真 岡ちゃん
元西日本新聞記者。スポーツ取材などを経験し、現在ブログやユーチューブなどに趣味や遊びを投稿し人生をエンジョイするぐらんざ世代。