64歳になって始めた
つい最近64歳になった。ビートルズの「WhenI'm Sixty-Four(僕が64歳になっても)」の歌詞の中に「頭が薄くなっても」や「午前3時に酔って帰っても締め出さないかい」とある。実際、私の頭頂部は薄くなり、緊急事態宣言が解除され気が緩んだせいか泥酔して午前3時すぎに帰宅してかみさんからこっぴどく叱られたこともある。
ただ、自分なりに64歳になったら実行しようと決意していたことがある。水泳、特にクロールを極めることだ。読者の皆さんがお住まいの地域にも似たような制度があるかもしれないが、私の住む福岡市には素晴らしい制度がある。65歳以上の市民には使用料が半額になる。夏期(5〜10月)は320円が160円になる。もちろんプールだけではなく、トレーニングルームも同じだ。
では、まだ半額にならないのに、なぜ64歳からなのか? それは以前、市民プールで泳いでいた時のエピソードにさかのぼる。当時は体力に任せて25メートルプールを何往復もしていた。すぐに息が上がり、隅で休んでいると私の後に続いて泳いでいた高齢の女性から声をかけられた。
「あら、もう終わりですか?ゆっくり泳ぐ私のいいペースメーカーだったのに…」
その女性は、一人でその後もコースに戻り柔らかで優雅なフォームで泳ぎ続けた。私はもがくようにして泳いでいたが、効率良く進んでおらず実際はスピードも出ていなかった。水の抵抗というものは、力めば力むほど強くなる。私は体力に任せて闇雲に腕をかき、キックをしていたのだ。そこで、利用料が半額になって頻繁に通えるようになる前にフォーム改造に挑むことにした。
64歳の間は、優雅でかっこ良く泳げるように理想的なフォームを身につけることが目的だ。〝スロークロール〟といってもいいかもしれない。陸上では足腰を痛めないスロージョギングをして、プールではかっこよくスロークロールで長い距離をゆったりと泳ぐ。シニアの代表として、優雅にかっこよくスポーツを楽しんで健康的な長寿を目指そうと目論んでいる。
文・写真 岡ちゃん
元西日本新聞記者。スポーツ取材などを経験し、現在ブログやユーチューブなどに趣味や遊びを投稿し人生をエンジョイするぐらんざ世代。