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福岡麺人生 9杯目 老舗の味とのれん 守らずに KOMUGI

福岡麺人生 9杯目 老舗の味とのれん 守らずに KOMUGI


KOMUGI

「KOMUGI」

福岡市城南区別府5-24-1
11:00~15:00、18:00~21:00/日・祝11:00~20:00(売り切れ次第終了)/不定休
◎マゼソバ 700円 ◎トリニボ 600円

 老舗の味といえば守るものというのが一般的な感覚だと思う。しかし、守るどころか味を変え、場所、看板まで変えてしまう人もいる。福岡市城南区にある『KOMUGI』の店主、柳田寛さん(42)がその一人である。

 交通量の多い国道202号沿いに店はある。青を基調としたポップな店構えが目立つ。カフェを思わせるような真新しい店内。“マゼソバ”と“トリニボ”というカタカナ書きのメニュー。どれをとっても老舗感は全くない。柳田さんは言う。「1月まで福岡県宮若市で営業していたんですよ」。

 そのルーツは柳田さんの父、毅さんが昭和52年に飯塚市で開業した『王ちゃんラーメン』だ。店名を聞いて中華そば屋かと思ったが、「父が戌年生まれだかららしいです」と柳田さんは笑う。提供していたのは、鶏、豚ベースに漢方も加えた薬膳ラーメン。ヨモギを練り込んだ自家製麺も人気を集め、宮若に2号店を構えるほど繁盛した。

 柳田さんがラーメンの道を志したのは20代の終わり頃。飯塚店は平成15年の大水害により閉店していたため宮若店で働き始めた。最初の1年は父親から老舗の味を学んだ。その後は福岡市の『中華そば郷屋』で約4年修業し、店に戻った。その経験も大きいのだろう。5年ほど前に店を完全に引き継いでからは独自路線を進んでいった。

 まずは、つけ麺、まぜそばをメニューに加えた。さらに豚骨を使わず、鶏ガラと煮干しで煮出したラーメンも考案。毎週水曜日は『トリニボヤ』として屋号とメニューを替えた。そして福岡市への移転である。

 「昼飯を食うところがなくなる」という常連の声に後ろ髪を引かれた。一方、福岡は20代の殆どを過ごした愛着のある街でもある。「せっかくなら多くの人に知ってもらいたい。人口が多いぶん厳しい目もあるけど、ちゃんとしたものを作っている自負がありますから」と言う。

 新天地では薬膳ラーメンを封印している。マゼソバは、宮若の小麦粉を使ったもっちり太麺と甘辛いそぼろ、卵黄が混ざり合った直球な味わい。トリニボは、柔らかい煮干し、鶏だしが印象的な一杯。派手さはないが、プリッとした麺は存在感があり、豚、鶏チャーシュー、白髪ネギ、ミツバが彩りを添える。

 2月のオープン以来、楽しみと不安が交錯する毎日だ。「売れれば楽しいし、お客さんが少ない時は《移転しなければ》とも思う」。老舗ののれんは重い。ただ、それを脱ぎ捨てたゆえの重圧もあるのだろう。

「マゼソバも同じくらい良く出ますよ」と柳田寛さん

「マゼソバも同じくらい良く出ますよ」と柳田寛さん

文・写真 小川祥平 1977年生まれ。西日本新聞社文化部記者。著書に「ラーメン記者、九州をすする!」。KBCラジオ「川上政行 朝からしゃべりずき!」内コーナーで毎月第1月曜にラーメンを語っている。

文・写真 小川祥平
1977年生まれ。西日本新聞社文化部記者。著書に「ラーメン記者、九州をすする!」。KBCラジオ「川上政行 朝からしゃべりずき!」内コーナーで毎月第1月曜にラーメンを語っている。

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