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世は万華鏡2・闇が浅い今どきの花火

世は万華鏡2・闇が浅い今どきの花火


闇が浅い今どきの花火

最近の花火は多彩な色に富み、絢爛豪華に息つく間もなく夜空を覆い尽くし、とてつもなく華やかだ。

一方、幼い日に田舎の河原で見た花火大会のそれは地味で、打ち上げの間隔も長かった。それでも「どちらが綺麗か」と聞かれれば、やはり遠き日の花火と答える。「綺麗」に語弊があれば「鮮烈な印象」と言い換えてもいい。なぜか。

花火師は花火の「消し際」に命を賭ける。一瞬の夢幻を描いて散った後、火の粉ひとつ残さず、いかに早く元の漆黒の闇に戻すか。それが彼らの意地という。

ところが、いま我々の暮らしの場に漆黒の闇が存在しなくなった。花火の背後の夜空が薄ら明るくて濁っている。闇が浅いのだ。幼き日の花火と、昨今の花火の美しさの差はそこにあるように思える。

西洋文明は闇を否定し、見えないものを見えるようにすることが技術の到達点、歴史の進歩と信じてきた。人間にとって克服できないものはないとの自信と傲慢。
光輝くものを是とし、暗さを否とする思想は「より速いもの」「より効率的なもの」が勝者、の競争原理を生み出していく。

だが、東洋には「陰陽」の思想がある。「独陰生ぜず、独陽生ぜず」と言うではないか。世の森羅万象は必ず対となって現れ、一定のバランスをとる。陰と陽は分離も対立もしない。
儒教は陰と陽のどちらかが重要で、もうひとつは重要でないとは教えない。互いに支え合うことで共に存在価値を高めていく、と説く。

同じように光は闇があってこそ輝きを増す。ところが、近代技術は光の重要な引き立て役である闇を消し去ろうと躍起になってきた。

例えば、生と死はどちらが光で、どちらが闇かは哲学、宗教の深い部分では不可知だ。にもかかわらず、我々は生こそ光とばかりに振る舞い、死を嫌悪・忌避してきた。あふれ返る健康サプリや各種保険のCMは老い、病への恐怖をあおりたてる。

しかし、幸福を追えば追うほどそうでない今の自分に不遇感が募るように、生という光に固執すればするほど死という闇をどこかに追いやり、逆に生の輝きを拡散、希薄化させていく。古い東洋人の小生は、今どきの花火を見上げるたびにそんなことをしきりと思うのである。



馬場周一郎=文(ジャーナリスト。元西日本新聞記者)
幸尾螢水=イラスト

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