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長谷川法世のはかた宣言15・町と町

長谷川法世のはかた宣言15・町と町


元禄3年(1690)の筑前国の総人口は293091人。福岡の町人数が15009人、博多の町人数は19038人*でした。それが享保の飢饉(1732年)では博多の人口も激減し、31年後の宝暦13年(1763)でも14619人と減少したままでした**。 この飢饉の犠牲者を博多では、上川端町と西門町・中小路の飢人地蔵尊でいまでも供養しています。

博多の町数は、1690年(元禄3)には113町。ずっとあと昭和41年の町界町名変更の前は133町***まで増えていましたが、変更後は24町に激減しました。

さて、タイトルの「町と町」ですが、「マチとチョウ」と読んでください。江戸のマチは八百八チョウですね。町人の住む八百八チョウを取り締まるのがマチ(町)奉行というわけです。

日本の都市は条坊制といわれる藤原京以後の都づくりではじまりました。都を横・縦 (条・坊)の大路で分割して正方形の「坊」という区画にわけます。さらに坊の1区画を縦横三本ずつの小路で16分割し、1区画を「坪」としました。そして坊をマチ、坪をチョウとよびました。1マチは16チョウをまとめた大きな単位でした。

ここで不思議なことは、マチもチョウも「町」の字をあてたことです。江戸の町は八百八町と書いて、マチとチョウを読みわけなければならなくなったんですね。

ところで、もっと不思議なことには、博多の人ならだれでも気づくんですが、博多の町名はほとんどマチと読むんですね。呉服マチ・綱場マチ・古渓マチ…。これは全体を表す地名として江戸があるように、「博多津」「那の津」があったからでしょう。ただ、弘法大師が行を行ったという旧町名の行(ぎょうの)町また竪(たて)町は、チョウとよびます。昔々はどちらもマチとよんでいたのかもしれません。反対に全部をチョウといったかも。

明和2年(1765)にできた「石城志」には博多の地図があって、道路に両側町の町名が書き込まれています。地図そのものが小さいので町名の多くは片仮名で、ゴフク丁・ツナバ丁・コケイ丁…などと書かれ、町の字はすべて略字の「丁」になっています。町は甼とも書き、これなら幅の狭いところにも書き込めるし、マチと訓読しますが、丁はマチの意味はあるものの、チョウ・テイとしか読みません。

ひょっとすると黒田藩は、江戸のマチは八百八チョウ、にならって福博の町々もチョウとよぼうとしたのかもしれません。石城志も藩の検閲を受けますから、丁をチョウのつもりで書いた可能性はあります。

ずうっと下って、いまでは音読みの市町村(しちょうそん)制になったので、地元では〇〇マチ・〇〇ムラというのに、公的には〇〇チョウ・〇〇ソンなんですね。条坊制以来の「町と町」の関係が逆転しました。ああ、ややこしい。

*人口については、貝原益軒「筑前国続風土記」
**博多の医師津田元顧・津田元貫「石城志」による。また、文化9年(1812)年作成の三奈木(みなぎ)黒田家の古図の書き込みには、博多の家数3395軒・人数14619人・馬27匹・船90余艘(内大船26艘)。福岡は文化3年(1806)の町家1629軒、人数は7470人余とある。三奈木黒田家は本姓は加藤。黒田氏に仕え黒田姓を名乗ることを許された。三奈木村に館を構えたのでこの名がある。家老上席を代々勤めた。
***133町…江戸時代、また明治以来埋め立てがすすんで町数も増えた。江戸も大規模な埋め立ての連続で大きくなった。

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長谷川法世のはかた宣言

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