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長谷川法世のはかた宣言46・町組(ちょうぐみ)

長谷川法世のはかた宣言46・町組(ちょうぐみ)


「城下町※1 」という本をぱらっとめくったら、であいがしらに「町組」という言葉にぶつかった。あわてた。数か町をまとめた組織が町組という。博多の本や中世の本などちょろちょろ読んではいるが、町組なんてことばはお目にかかった記憶がない。博多の「流」とおなじ組織形態じゃないか。

いつからこんな言葉があったのか「おれは聞いとらんぞ!」とばかり、手元の平凡社世界大百科事典(昭和47年発行)を見た。確か発売時「無い項目は無い」というキャッチコピーだった名百科事典に、独立項目として町組はなかった。「町」の項目に「…南北朝から応仁文明の乱にかけて政治的権力が衰えたとき、特に京都で小地域集団が自治自衛の生活組織をつくるようになり、これが町の名で呼ばれ…農村における郷村制のように町々をつないで、町組制を育てた…」とでている。こ、これは読んだはずなんだけど。

はじめて日本史辞典を買ったのは小型の岩波版だが目下行方不明。あとで買ったこれも小型の角川日本史辞典(昭和41年初版44年11版※2)をみてみる。やはり町組の項はなく、「町(まち)」に平凡百科と同様の、そして「親町・枝町による町組」との説明がある。

電子辞書・日本歴史大辞典では「町(まち)」の項目に「町(ちょう)は応仁・文明の乱後自治組織として成長し、町組(ちょうぐみ)・惣町(そうちょう)を形成、町衆(ちょうしゅう)の活動の基盤となった…」とある。

おなじく電子辞書・広辞苑第六版では、「まちぐみ…(チョウグミとも)室町時代の都市で、町々の自治組織。組町」という説明がある。手持ちの一番古い広辞苑は第二版補訂版(昭和52年)で、これも町組で項目立てしてあるものの、簡単な「室町時代、町ごとの自治・統制組織」という説明。「町ごと」では平凡百科いうところの「町々をつないで町組制を育てた」ことにならない。第二版だけでなく、(三、四は持たず)第五版広辞苑(平成10年)もまったく同じ説明。また、大辞林第二版(平成7年)も、「まちぐみ…中世以降、京都などでの都市で各町に置かれた自治組織。ちょうぐみ」と同義の説明だ。

平成11年版の岩波日本史辞典では「ちょうぐみ…町の連合体」とズバリ説明。つづけて「とくに中世末・近世京都の町連合組織…」と説明がつづく。広辞苑と岩波日本史辞典は同じ岩波書店の刊行だけれど、日本史辞典に軍配だろう。(事典辞書のタイトルマッチか!?)

まちぐみ・ちょうぐみという読み方のちがいは、史料に仮名で書かれたものがないためかも。「ちょう」の集合体が「まち」なので、「ちょうぐみ」と読むのが素人判断では合理的と思える。

ちょう→ちょうぐみ→まち、と大きくなる。自分なりに「江戸のマチは八百八チョウ」とおぼえている。

ところで、「町組・博多」でネット検索したら、「近世近代博多における職住近接と地縁的結合の変容に関する研究」という論文が現れた。「流」についての驚くべき新説が発表されている。(この項つづく)

*1)「城下町」…松本四郎著・吉川弘文館・H25。巻末の地名索引に「福岡(博多)」の項目が7か所でているが、ほかに10か所の記述があった。

*2)昭和44年11版…げっ、46年前の発売だ。でも、買ったのはもっとあとだも〜ん。

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