本サイトはプロモーションが含まれています。

長谷川法世のはかた宣言53・博多の博多

長谷川法世のはかた宣言53・博多の博多


秀吉の町割にいっしょした宣教師フロイスの「日本史 ※1」は、な~んかへんだ。

①《関白は博多に到着すると、そこに二里にわたって陣営を設けた》191頁
②《[関白は]箱崎と呼ばれるところに陣屋をかまえていた》193頁
ね、へんでしょ、博多と箱崎がごっちゃだ。

①の博多は完全なまちがい。関白は②の箱崎に到着したのさ。でもですね、この①博多をですね、ひろ~く博多湾一帯の名前としてフロイスが書いたんだとしたらどーする、どーなる?

ボクらの「博多」の史料初見は、続日本記 ※2に書かれている「博多大津 ※3」(天平宝字3年3月24日の条)。フロイスの①博多は、もしかしてこの博多大津の意味なのでは?

九州を平定した秀吉は、薩摩からの帰りに①《博多に到着》したが、豊前覚書 ※4によると博多のまえは大宰府に逗留している。
「関白様6月2日に薩摩より大宰府までご帰陣なされ、同3日ご滞留、同4日午の刻[12時]、箱崎にご参着」※5

関白九州入りを豊前覚書は九州御動座と書いている。「九州御動座記 ※6」という文書もある。動座とは大将出陣の意もあるけれど、貴人・神木・神輿などの座所を他に移すこと。関白は貴族のトップ、一の人。九州に動座したからには、遠の朝廷とよばれる大宰府政庁の跡 ※7をたずねるのも当然だ。その関白がつぎに到着すべきは、身分ちがいの商人の町・博多ではなく、公の地、大宰府の外港・博多大津、だよね。

ンなら「博多」には戦国時代にも博多大津、つまり広域博多の意味があり、その一部に狭域の博多があったことになる。ボクらの博多は「博多大津(の中)の博多」「博多の博多」だったんだ。わっ、こりゃ大胆な仮説だ。ならばフロイスの日本史は、①関白は「博多大津」に到着すると二里にわたって関白軍の陣営を設け、②「博多大津の中の箱崎」と呼ばれるところに自分の陣屋[本陣]を構えていた、と読まなきゃならない。

フロイスさんたら日本滞在24年目だもん、正確に「博多(大津)」と「博多の箱崎」・「博多の博多」を書きわけたんだ。けど、豊前覚書は博多でなく「箱崎ご参着」じゃん。いや、箱崎は著者城戸清種の居所。秀吉が本陣にした筥崎八幡宮は戦の神様で筑前一の宮。関白ご着陣に不足はあるまいて。

さて、「博多の箱崎」着陣のつぎは、町割の場(てへ、歌舞伎かい)。秀吉は和船で《博多》※8へむかうが、宣教師のフスタ船 ※9がきたので乗りかえて博多へ着き、町割をはじめる。《フスタ船が浜辺に着くと、前面には、新たな博多の市に住むことになる約千名の人たちが勢揃いしていた》(日本史)

さあ、《新たな博多》を凝視。ちょっと見には、「町割で新たに生まれかわる博多」とおもえる。けれど、いまボクらが(と強引に仲間意識をもとめつつ)気づいてしまった「博多の博多」は、そのまんま《新たな博多》※10なのだろうか、怖いぞ次号!

*1)日本史…「完訳フロイス日本史4」(松田毅一・川崎桃太共訳:中公文庫)[ ]内法世補記

*2)続日本記…日本書紀につぐ国史。文武帝|桓武帝95年間の編年史

*3)博多大津…続日本記/国史大系第二巻(経済雑誌社:近代デジタルライブラリー)は「博多ノ大津」、東洋文庫版3(現代語訳)も「博多の大津/注6大津は国家の管理する港の意であろう」。秀吉の時代「博多津」が一般的と思うが「博多の博多」の意でも併用されるので広域博多の意で「博多大津」を使う

*4)豊前覚書…城戸清種著:元和元年(1615)「博多・筑前史料豊前覚書」校訂川添昭二・福岡古文書を読む会/文献出版

*5)4日(箱崎着)…関白の箱崎到着日は、宗湛日記・筑前国続風土記が3日、黒田家譜・戸次軍談7日という不思議!特に続風土記と家譜は貝原益軒著なのに

*6)九州御動座記…天正15年成立・著者未詳:所収清水紘一「織豊政権とキリシタン|日欧交渉の起源と展開」(近世史研究叢書5)岩田書院

*7)大宰府政庁の跡…都府楼跡。「戸次軍談」(元禄16年刊:作者未詳)にも、7日博多の津に着陣/八幡に本陣、とある。「島津義久太宰府に茶店を構へ殿下[秀吉]を慰め奉る。六月六日安楽寺の天満宮に御参詣…同七日花旭塔[博多]の津に御着陣有て箱崎八幡[ママ]の社内に御本陣を据えらる」(読みやすくした。軍談は娯楽としての戦記)

*8)《博多》…フロイスは①博多(大津)に対し現博多部を単に《博多》とも書く。「博多の博多」は福岡県福岡市、大字博多字博多のようなもの。同様に箱崎は「博多の箱崎」

*9)フスタ船…小型武装南蛮船

*10)新たな博多…文庫「完訳フロイス日本史」に先立つ上製本「フロイス日本史」(翻訳者同じ:中央公論社)では、《新たな博多(の市)》で、(の市)は翻訳者補筆。本稿では《新たな博多》のみ使う。翻訳者は①博多と現博多部の区別として(の市)を補筆か。

関連するキーワード


長谷川法世のはかた宣言

最新の投稿


50代女性におすすめのシャンプー10選 髪の悩みに合わせたエイジングケア商品

50代女性におすすめのシャンプー10選 髪の悩みに合わせたエイジングケア商品

50代女性の髪の悩みを解決に導くシャンプー選びをご提案します。年齢とともに変化する髪質や頭皮環境にマッチした、50代に最適なシャンプーの選び方とおすすめ商品をご紹介。女性特有の髪のパサつき、ボリューム不足、白髪ケアなどの悩みに着目し、保湿力と栄養補給に優れたヘアケア製品を厳選しました。50代女性のためのシャンプー選びのポイントも詳しく解説していますので、あなたの髪質に合った美容成分配合のシャンプーを見つけて、健やかで美しい髪を取り戻しましょう。


50代におすすめのオールインワンジェル12選 肌悩みに合わせた上質スキンケアを

50代におすすめのオールインワンジェル12選 肌悩みに合わせた上質スキンケアを

年齢を重ねるにつれて増えるのが肌の悩み。「もっと手軽にケアしたい」「たくさんの化粧品を使うのが面倒」と思うことはありませんか?そんな50代女性にこそ、オールインワンジェルがおすすめです。50代の肌は、乾燥やハリ不足、くすみといった悩みが複合的に現れてきがちです。 しかし、オールインワンジェルなら1つで化粧水、乳液、美容液などの役割をこなすため、複数のアイテムを揃える必要がありません。時間もお金も節約しながら、効率的に本格的なスキンケアができます。 この記事では、50代におすすめのオールインワンジェルを厳選してご紹介。毎日のお手入れにオールインワンジェルを取り入れて、自信あふれる健やかな肌を目指しましょう。


第十九回博多・天神落語まつり 開催決定!

第十九回博多・天神落語まつり 開催決定!

福岡の秋は、これがないと始まらない! 「六代目三遊亭円楽名誉プロデュース 博多・天神落語まつり」の開催が今年も決定しました!


予算5,000円で男性が喜ぶ!家電プレゼント厳選10選【2025年最新】

予算5,000円で男性が喜ぶ!家電プレゼント厳選10選【2025年最新】

「男性へのプレゼント、何を贈れば喜ばれるだろう?」 そんなお悩みを抱えていませんか?特に家電は、こだわりを持つ男性も多く、ブランドや機能性を考えると予算5,000円では難しいと感じるかもしれません。 この記事では、予算5,000円程度で購入できる、男性が喜ぶ高コスパ家電を厳選してご紹介します。ビジネスシーンで活躍する便利なガジェットから、プライベートを充実させる実用的な日用家電まで、人気ブランドから選び抜かれた10商品をピックアップしました。 どの商品も使い勝手にこだわり抜かれたものばかり。誕生日や記念日、ちょっとしたお礼など、様々なシーンで喜ばれること間違いなしです!


50代のアイメイク完全ガイド|老け顔に見えないメイクのコツと厳選アイテム7選[2025年版]

50代のアイメイク完全ガイド|老け顔に見えないメイクのコツと厳選アイテム7選[2025年版]

50代になると、まぶたのたるみ・くすみ・シワなど、目元の変化の悩みが増えてきがち。「若い頃と同じアイメイクをしていたら、かえって老けて見える…」そんなお悩みを抱えていませんか? 実は50代のアイメイクには、年齢に合わせたやり方とアイテム選びが重要です。間違ったメイク方法では、目元が重たく見えたり、表情が暗く見えてしまう原因にも。本記事では、「50代でも老け顔に見せない」ためのアイメイクのコツをわかりやすく解説しつつ、アイブロウ・アイシャドウ・アイライナーなど、50代におすすめの厳選アイテムを紹介します。正しいテクニックとアイテム選びで、若々しく上品な印象の目元を手に入れましょう。


発行元:株式会社西日本新聞社 ※西日本新聞社の企業情報はこちら