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長谷川法世のはかた宣言56・古代博多場末論

長谷川法世のはかた宣言56・古代博多場末論


あれこれ乏しい知識をひねくっているうちに、「太閤町割博多せばめ論」や「楽市楽座思いやり否定論」というような結論になってしまい、あわてている。あわてついでに今度はとんでもない人を相手にしてしまう。

お相手は、中山平次郎博士だ。※1
中山博士といえば九大考古学の先駆者。100年も前の大正初年、「鴻臚館」の場所を割りだした偉大な業績がある。ところが、そのことが書かれている論文集「古代の博多」(九州大学出版会)を読んでみたら、こりゃまたなんと、本当に怖ろしいことが書いてあったのだ!

《略言すると、博多部は古への博多といふべき都市の場末に過ぎなんだというふ結果に帰着する》(27頁※2)

ね、怖ろしいでしょ。古い文献に登場する《古への博多》は、鴻臚館を中心とする「福岡部」であって、いまの博多部は場末だったとおっしゃっている。この場末ということばにひっかかって、何年たっても27頁から先を読めない。

中山博士の説は略言すれば「鴻臚館中心都市福岡つまり博多場末」論ということになるだろうか。はかた宣言者としては何かいわずにいられない。しかし、100年前の論説とはいえ帝国大学博士を相手に、しろうとがどんな相撲を取れるのか。108頁ある論考「古代の博多」を27頁しか読まなくてなんの反論か。

でも、中山博士が鴻臚館の3文字で108頁なら、こっちは場末の2文字でその3分の2は書いて良かろ~もん、と思ったりしましてね。「場末」による驚天血圧急騰現象を無謀エネルギーに変換して、無鉄砲に挑戦します。専門家からみれば、牽強付会我田引水三段論法の見本でしょうけど。

まずは基礎調査として「場末」を辞書で調べてみようっと。博士がこの言葉をどういう意味でつかったかを知らねば。
大槻文彦著「言海」は、明治24年に刊行された日本初の国語辞典。中山博士も愛用されたに違いない。けど、ちくま学芸文庫版をみても場末の項目はない。ではと、平凡社の「大辞典※3」をあたる。

昭和11年刊行のでっかく重い上下2冊。櫛田神社の力石みたいだ。「場末」がある。バスエ町はづれに近い場所。都會のはしの方。後者昔物語※4「江」亨和「江戸の土地の段段※5に、ばすゑまでも家を列ねたるを見れば…」次に広辞苑第二版補訂版※6。ば-すえ 都市で、中心部からはずれた所。町はずれ。
さらに広辞苑第六版(H20)は同文だけれど「|の酒場」と加筆。また、「御府内場末其外往還沿革図書※7」というのも国会図書館デジタルコレクションにあった。「御府内沿革図書」の続編だな。少なくとも場末はプラスイメージで書かれてはいまい。

官家※8の時代から、比恵川の船舶輸送にとって、河口の地は出入りの船の監視など早くから重要な役目を担ったはず。役所としても鴻臚館とは管轄ちがいではなかろうか。博多湾全体を鴻臚館中心に考えるのはいかがなものか。畏れながらとこの項つづけます。

*1)中山平次郎博士…M4京都生まれ。4歳から東京。東京帝国大学医学部卒・ドイツ、オーストリア留学。M39京都帝大福岡医科大(現九大)赴任。論文「古代の博多」(1925)などを発表。

*2)27頁…9頁にもすでに博多は場末と書かれている。

*3)大辞典…縮刷復刻版S49を使用。ルーペが付録。

*4)後者昔物語…手柄岡持(てがらおかもち)作。今昔物語の「今は昔」を「後は昔」とパロっている。

*5)段段…次第に。「 * 印がふえる」

*6)広辞苑第二版補訂版…S51刊

*7)御府内場末其外往還沿革図書…江戸府内と場末近辺の町々の変遷を延宝年間から安政年間にかけて絵入りで調査したもの。正編というべき「御府内沿革図書」がある。

*8)官家…みやけ。屯倉・屯家・屯宅・三宅とも書く。大和政権の直轄領で収穫した稲米を蓄える倉。転じて直轄領。
筑紫では、磐井の乱(528)で倒れた筑紫国造磐井の子・葛子は罪を逃れるため糟屋の領地を継体朝に献上、これを糟屋屯倉(かすやのみやけ)といった。宣化天皇は536年5月那津官家(なのつのみやけ)を造り諸国の屯倉の穀を運ばせた。翌年大伴金村の子狭手彦を遣わして任那・百済を救っている。那津だけ官家で他は屯倉と書かれている(日本書紀)ことから那津官家は軍事基地という説もある。

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