本サイトはプロモーションが含まれています。

長谷川法世のはかた宣言73・胡椒と洋胡椒

長谷川法世のはかた宣言73・胡椒と洋胡椒


「胡椒ばとっちゃれ」
「はい」
「洋胡椒やなか、胡椒たい」

こういう会話がかわされた食事風景はどのくらい前のことだったか。博多では唐辛子のことを胡椒といった。博多生まれなので、博多ではと書いたが、九州ではと書くのが正確なようだ。本や辞書やウィキペディアには、九州ではと書いてある。

胡椒(トウガラシ)と洋胡椒(コショウ)。東京オリンピックの年に高校を卒業して、東京へ出たときには、おおかたの人が「ぼかあ、七味だね」「わたしは一味が好き」などといい、唐辛子という人はめったにいなかった。七味・一味は東京検定の最初の関門かもしれない。だいたい七味なんて、ヒチミと発音してしまう。シチ流れでは質流れのようで縁起も悪いし、博多山笠はふつうナナ流と読んでいる。ナナミでは女の子の名前みたいだし。イチミにいたっては、金塊強盗のイチミかと思ってしまう。双六の目がスル目じゃ、博打打ちにぁ縁起が悪いや、うまく当たる※1ようにアタリ目って呼ぼうぜとか、葦原に遊郭じゃそれこそ悪し原だ、良し原にしようぜ、吉原だ、などと縁起担ぎをした江戸っ子にしては、七味はともかくイチミはいただけない気がする。

さて、胡椒つまりは唐辛子だが、『トウガラシの世界史※2』には、中南米原産のトウガラシをヨーロッパ人が手に入れ、地球を半周して半世紀で日本に渡来※3したと書いてある。天文11年とか同21年(1552)にポルトガル人が伝えた、というのが一番古い記録だそうな。南蛮胡椒ともいったらしいので、洋胡椒の呼び名は、明治になってからのことか。

洋胡椒はアジアでは育たないので、栽培できる唐辛子が先に日常化した。和食には胡椒(トウガラシ)、洋食には洋胡椒(コショウ)であるなら、洋の字を冠した理由もわかる。

ところで、チャンポンを食べる時は、洋胡椒をかけないと気がすまない。ソースもかける。ウスターソース※4だ。チャンポンは外国料理※5だからソースをかける。そうしてデザートにアイスクリームだ。旧寿通にあった平和楼にはテーブルにアイスクリームのメニュー※6が置いてあった。わが家では熱いチャンポンのすぐあとにアイスクリームを食べると「おなかがしぇく※7よ」というので、「そんなら、逆に食えばよかたい」といって、先にアイスクリームを食べる習慣になっていた。

※1)当たる…歌舞伎では、公演日をいうのに、当たる〇日よりという。来る〇日よりでは、キタ=北(北東の鬼門に近い)があるので、言いかえたのでは、思っているがどうだろう。
※2)トウガラシの世界史…山本紀夫・中公新書
※3)渡来…多聞院日記文禄2(1593)に、こしょうの種をもらって植えた。…赤皮の辛いのには肝をつぶした。こしょうの味でもない、とかいてある。最初のこしょうはトウガラシ、あとのこしょうはコショウだ。
※4)ウスターソース…関東はとんかつ好きなせいか、濃いソースばかりで、ウスターソースを見つけるのがむずかしい。
※5)外国料理…目玉焼きは洋食だからソース。だし巻きは和食で、かけるなら醤油。
※6)アイスクリームのメニュー…30年位前に長崎の中華料理店にはいったら、同じメニューがあった。「お食事あとのデザートにアイスクリームをどうぞ」。いまはどうかな?
※7)おなかがしぇく…腹痛たになる。しぇくは戸などを閉めるの意もある。

関連するキーワード


長谷川法世のはかた宣言

最新の投稿


50代女性におすすめのシャンプー10選 髪の悩みに合わせたエイジングケア商品

50代女性におすすめのシャンプー10選 髪の悩みに合わせたエイジングケア商品

50代女性の髪の悩みを解決に導くシャンプー選びをご提案します。年齢とともに変化する髪質や頭皮環境にマッチした、50代に最適なシャンプーの選び方とおすすめ商品をご紹介。女性特有の髪のパサつき、ボリューム不足、白髪ケアなどの悩みに着目し、保湿力と栄養補給に優れたヘアケア製品を厳選しました。50代女性のためのシャンプー選びのポイントも詳しく解説していますので、あなたの髪質に合った美容成分配合のシャンプーを見つけて、健やかで美しい髪を取り戻しましょう。


50代におすすめのオールインワンジェル12選 肌悩みに合わせた上質スキンケアを

50代におすすめのオールインワンジェル12選 肌悩みに合わせた上質スキンケアを

年齢を重ねるにつれて増えるのが肌の悩み。「もっと手軽にケアしたい」「たくさんの化粧品を使うのが面倒」と思うことはありませんか?そんな50代女性にこそ、オールインワンジェルがおすすめです。50代の肌は、乾燥やハリ不足、くすみといった悩みが複合的に現れてきがちです。 しかし、オールインワンジェルなら1つで化粧水、乳液、美容液などの役割をこなすため、複数のアイテムを揃える必要がありません。時間もお金も節約しながら、効率的に本格的なスキンケアができます。 この記事では、50代におすすめのオールインワンジェルを厳選してご紹介。毎日のお手入れにオールインワンジェルを取り入れて、自信あふれる健やかな肌を目指しましょう。


第十九回博多・天神落語まつり 開催決定!

第十九回博多・天神落語まつり 開催決定!

福岡の秋は、これがないと始まらない! 「六代目三遊亭円楽名誉プロデュース 博多・天神落語まつり」の開催が今年も決定しました!


予算5,000円で男性が喜ぶ!家電プレゼント厳選10選【2025年最新】

予算5,000円で男性が喜ぶ!家電プレゼント厳選10選【2025年最新】

「男性へのプレゼント、何を贈れば喜ばれるだろう?」 そんなお悩みを抱えていませんか?特に家電は、こだわりを持つ男性も多く、ブランドや機能性を考えると予算5,000円では難しいと感じるかもしれません。 この記事では、予算5,000円程度で購入できる、男性が喜ぶ高コスパ家電を厳選してご紹介します。ビジネスシーンで活躍する便利なガジェットから、プライベートを充実させる実用的な日用家電まで、人気ブランドから選び抜かれた10商品をピックアップしました。 どの商品も使い勝手にこだわり抜かれたものばかり。誕生日や記念日、ちょっとしたお礼など、様々なシーンで喜ばれること間違いなしです!


50代のアイメイク完全ガイド|老け顔に見えないメイクのコツと厳選アイテム7選[2025年版]

50代のアイメイク完全ガイド|老け顔に見えないメイクのコツと厳選アイテム7選[2025年版]

50代になると、まぶたのたるみ・くすみ・シワなど、目元の変化の悩みが増えてきがち。「若い頃と同じアイメイクをしていたら、かえって老けて見える…」そんなお悩みを抱えていませんか? 実は50代のアイメイクには、年齢に合わせたやり方とアイテム選びが重要です。間違ったメイク方法では、目元が重たく見えたり、表情が暗く見えてしまう原因にも。本記事では、「50代でも老け顔に見せない」ためのアイメイクのコツをわかりやすく解説しつつ、アイブロウ・アイシャドウ・アイライナーなど、50代におすすめの厳選アイテムを紹介します。正しいテクニックとアイテム選びで、若々しく上品な印象の目元を手に入れましょう。


発行元:株式会社西日本新聞社 ※西日本新聞社の企業情報はこちら