仕事以外では近年、ゴルフに熱中。年間2万4000〜5000球を打ちこむ。取材当日も早朝4時半に起きて120球打ってきたそう。いつまでも元気でゴルフも仕事もできるようにと、昨年8キロの減量に成功。
在宅介護用ベッドの出荷台数が業界第2位、30%のシェアを誇る株式会社プラッツ(本社・福岡県大野城市)。商社勤務後、34歳で脱サラし、ゼロから一代で上場企業にまで築き上げた社長の福山明利さんにお話を伺った。
「僕は医療に関しては全くの素人。たまたま介護用ベッドの需要が今後、高まると聞き、現行品を見てみると価格が非常に高くデザインもいかにも病院っぽい。元々アジアでものを作って輸入していたこともあり、もっといいものを安く作れるんじゃないかという発想がスタートでした」と福山さんは振り返る。
超低床介護用電動ベッド「ラフィオ」。
これまで山あり谷あり。苦しいときにはさまざまな本を読み、学んできたという。「中でも印象に残ったのは稲盛和夫さんの『経営者は利己ではなく利他という考え方をしなければならない』という言葉。お客様の方向を見ないで自社の業績アップを優先してしまうと、事業は継続できなくなります。お客様が喜んでくれる顧客視点のものづくりへ発想の転換をしたことで、顧客評価も高まり品質も飛躍的に向上。3期連続の赤字決算という経営危機からV字回復を果たすことができました。会社の大きなターニングポイントとなったこの経験は社員にも、ことあるごとに話しています」
「人も企業もそうですが、オギャアと生まれてから成長期、安定期、衰退期があります。成長期は思春期ですから、いろんな悩みがあります。それを解決しようとするから成長する。課題が満載だということは成長要因がそこにたくさんあるということですから楽しいじゃないですか。『社長!大変です』と社員がいつでも飛び込めるよう社長室のドアは空けています。問題をオープンにできるような社内文化がいちばん必要です。課題を見つけてそれを解決する、常に挑戦し続ける会社でありたいと考えています」
社名の「プラッツ」はドイツ語で、人々が集う場、広場を意味する。
2015年には念願の上場企業に。それに伴い、徐々に権限譲渡を進めたという福山さんに、その真意を尋ねると
「頭や体のキレも悪くなっている人間がいつまでも口出しするのは会社のためによくないので」と潔い。
「最初は寂しくもあり心配でもありましたが、やっぱり任せてみると部下って伸びるんですよね」と本音もポロリ。