芸能一家に生まれ、6歳で映画デビュー。10年程前から無声映画の弁士を勉強し、各地で上映会も開いている目黒祐樹さん。
昔から映画やテレビの世界で活躍している俳優の目黒祐樹さん。生の声はとても穏やかで、終始丁寧な応対からも彼の誠実さが伝わってきた。まずは本格的に俳優としての活動を始めたきっかけから。
「16歳から20歳まで4年半アメリカに留学していたんですが、最初は芸能界にいた父や兄とは違った道に進もうと思い、海外に渡ったんです。それが、アメリカで学生時代を過ごすうちに、気がつけば時間があるときには必ずと言っていいほど映画館に行っている自分がいて、自分の中に映画や演劇好きの血が流れているのかなっていうのを感じるように。そうして帰国後、留学記の出版、映画の主演、レコード発売の話をほぼ同時期にいただいて、この世界でデビューすることになりました」。留学経験がなければ、役者の道には進んでいなかったかもと話す目黒さんは、その後ハリウッド映画にも出演するまでに。
「俳優という職業の魅力は、束の間だけれどもいろんな人の人生を生きているような体験ができること。役に自分を近づけ、その人の心理や行動を探っていくことはとても難しく、ある意味背中合わせに苦しみもあります。けれども、舞台上でお客様から拍手をいただく瞬間とか、カメラ前で監督が大きくOKを出してくださる時なんかは、役者をやっていて良かったと思いますね。束の間の喜びと数限りない挫折や落ち込みの繰り返しで、あっという間に年月が経ってしまいました」。
博多座1月公演では、厳格だが家族思いなおりょうの父「楢崎将作」を演じる。
来年の1月は博多座公演の舞台にヒロインおりょうの父親役として出演予定。博多座への出演自体は16年ぶりとなるが、舞台以外にも九州の旅番組に出演していたり博多の友人も多かったりと、福岡には馴染みがあるようだ。「公演はとにかく全力でぶつかっていきたいと思っていますが、その傍ら博多にじっくり腰を落ち着かせ、久しぶりに友人たちと過ごせる楽しみも待っているので嬉しいです」。
最後に今後の展望について尋ねると、目黒さんらしい率直な答えが返ってきた。
「この先は体力もそうですし、だんだん台詞も覚えられなくなってくると思うんですよ。だから自分の限られた条件の中で声をかけて下さる方がいることは非常に有難いですし、それでどこまでやれるものなのか、自分で自分を見極めていきたいと思っています」。
近く、博多の舞台でまたお会いできるのが楽しみだ。