持てるテクニックを駆使するフュージョンギターの代表作
ラリー・カールトンは若くしてギターの腕を認められ、20歳で自作アルバムを出して以来、’71年からポップな路線に転換し始めたクルセイダーズに招かれて重要ポストを担い、ヒット作品の立役者として活躍する。同時に米国西海岸きってのセッションギタリストとして当時の主要作品のバックアップを務めて多忙を極める状況となる。
クルセイダーズ脱退後の’78年に満を持して発表したのが本作で、当時のフュージョンブームの代表的な作品として大ヒットし、ギター愛好者たちに大きな共感と感動を与えるものとなった。彼が愛用するギブソンのギター、ES—335から放たれるハイライト曲「ルーム335」は、爽快で華麗なメロディを綴る代表ナンバー。その他スピード感溢れるエイトビート曲やスロー・バラード、サンバ風ナンバー等、キーボードのグレッグ・マティソンをはじめ、ベース、ドラム含めメンバーのソロやアンサンブルも絶妙で、バンドサウンドの密度が高く、ジャズとブルースで培った技能に、セッション活動で得たポップなエッセンスが加味されてこの時代を代表するフュージョンの大傑作が完成したのだ。
この作品はワーナーミュージック・ダイレクトからフュージョン・アナログ・プレミアム・コレクションとしてLPがリリースされている。
相川 潔
元広告会社社員・長崎市生まれ熊本市在住。
ジャズ、ロック、ソウルなどのレコードを追い求めて数十年。名盤、奇盤多数。
レコードは盤、ジャケット、再生機を含めて楽しむべき芸術だと思います。