ラテンのビートが炸裂する強力メンバーで放つ会心作
デビュー以来ラテンロックの代表格としてヒット作を連発してきたサンタナであったが、73年以降はジャズ界のジョン・マクラフリンやアリス・コルトレーンなどとの共演を重ねる。根底にはスリ・チンモイという宗教家への帰依が大きく影響しており、荒々しいラテンのリズムも影を潜め、何をやっているのだ!と興ざめするファンも多かったはずだ。
一念発起したのかメンバーを一新し、レオン・チャンクラーというクルセイダーズでも活躍するファンキーなドラマーの加入とグレッグ・ウォーカーのボーカルでパンチの効いた作品を発表する。のっけからラテンソウル「ダンス・シスター・ダンス」が炸裂。ねちっこいバラードあり、ダンサブルでポップな曲があるなど、バラエティ豊かな仕上がりであるが、何といっても彼らの代表曲となった「哀愁のヨーロッパ」がこの作品の価値をさらに高めている。
「ロータス・ライブ・イン・ジャパン」のジャケットを担当した横尾忠則によるイラストもよりポップなイメージとなっており、プロデュースのデヴィッド・ルビンソンの思惑が実を結んだ傑作なのである。
この作品は初回発売の日本盤LPで卒業直前の大学生協で手に入れたのを思い出す。横尾忠則作のジャケット・スリーヴが印象的だ。
発売元:ソニー・ミュージックレーベルズ
相川 潔
元広告会社社員・長崎市生まれ熊本市在住。
ジャズ、ロック、ソウルなどのレコードを追い求めて数十年。名盤、奇盤多数。
レコードは盤、ジャケット、再生機を含めて楽しむべき芸術だと思います。