シンプルにロックを謳歌する70年代ストーンズの会心作
たかがロックンロール、されどロックンロールと言い切ったタイトルがいかにもストーンズの登録商標のようなもので、グラムやメタルという新勢力が台頭してきた中で彼らはシンプルにロックの王道を突っ走る。70年代の自主レーベル発足後「スティッキー・フィンガーズ」から「メイン・ストリートのならず者」など結構アクの強い作品を発表してきた。
今作は、キーボードに盟友イアン・スチュアートやニッキー・ホプキンス、ビリー・プレストンがそれぞれ6人目のストーンとして参加。この作品を最後に脱退するミック・テイラーがその力量をいかんなく発揮するが、キースは軽めのカッティングに終始しており、そのせいもあるのか前作までのドロ臭さが希薄である。「エイント・トゥ・プラウド・トゥ・ベッグ」などソウルの名曲もワイルドなイメージのカバーとなっている。アルバム全体のイメージは、アコースティックギターが多用されてソフトなムードを演出しギターとピアノが甘いフレーズを絡めている。ガイ・ピーラートのイラストによるジャケットは、ゴージャスなイメージだがサウンドとの違和感もあるようだ。
ユニバーサルミュージックより発売中。通常CD盤はもちろん、ハイレゾCD名盤シリーズの1枚としてもリリース。レコードで親しんだ方には新たな感動が蘇る作品。
Ⓒユニバーサルミュージック
相川 潔
元広告会社社員・長崎市生まれ熊本市在住。
ジャズ、ロック、ソウルなどのレコードを追い求めて数十年。名盤、奇盤多数。
レコードは盤、ジャケット、再生機を含めて楽しむべき芸術だと思います。