天才登場を高らかに宣言する若き活力溢れる傑出の人気作
ジャズトランペット奏者のフレディ・ハバードは60年に本作で華々しくデビューし、ブルーノートに怒涛の8作品のリーダーアルバムを残している。同年代のリー・モーガンや先輩格のドナルド・バードとかわらぬほどの人気を誇り活躍を果たす。
本作の新人らしからぬ自信に満ちた演奏には他を圧倒する力がある。アラビア風のタイトル曲のスピード感ある展開、「ジプシー・ブルー」の印象的な味付けなど、共演するテナーサックス奏者のティナ・ブルックスの作曲とブルージーな演奏がこの作品を名盤たらしめている大きな要素となっている。さらにマッコイ・タイナーも若く力強いピアノを聴かせる。この作品のドライブ感を演出するクリフォード・ジャービスのドラムもアート・ブレーキーばりの迫力を加えている。「バット・ビューティフル」の煌めくようなバラードも絶品で全6曲とも全く無駄なく息をつかせぬ魅力に溢れているのだ。
この作品は直輸入アナログ盤が出ており、米国ブルーノートの音を再現できるチャンスでもある。その当時の記憶を辿ることができる感動の一枚だ。
Ⓒユニバーサルミュージック
相川 潔
元広告会社社員・長崎市生まれ熊本市在住。
ジャズ、ロック、ソウルなどのレコードを追い求めて数十年。名盤、奇盤多数。
レコードは盤、ジャケット、再生機を含めて楽しむべき芸術だと思います。