熊本の墓に今は眠っているが、私の父は新年早々に舟券を買いその年の運試しをするほど熱狂的なボートレースファンだった。でっぷりと太ってしまったが子供のころ小柄だった私は「将来、ボートレーサーになれ!」と父に連れられ北九州近郊のボートレース場に何度も通った。2サイクルエンジンの轟音を上げ、水面を滑るように走るボートのスピードに子供ながら魅了された。
縁あって西日本新聞社に入り、60歳の定年直前にスポーツ紙「西日本スポーツ」(通称・西スポ)を統括するスポーツ本部長なるものになり、ボートレースをはじめとして公営競技が仕事の一部となった。おかげで全国各地のボートレース場には〝仕事〟で行けるようになった。
父にボートレースの英才教育を受けていたおかげで、ボートはイン有利の法則が「三つ子の魂なんとか」でしっかりと脳の記憶に刻まれていた。そんな中で全国24場中、インが有利でない特異なボートレース場があり、「西日本スポーツ杯」が実施されていると聞いた。滋賀県大津市にある「ボートレースびわこ」だ。かつてかかわった西スポの社杯を実施してくれる、ありがたいボートレースびわこさんに感謝を込めて楽しめる攻略法をぐらんざ読者の皆さんに伝授しよう。
西スポレース部デスクによると、びわこの1コース1着率は50.5%と全国平均を下回っているそうだ。逆に言えば2~4コースの1着率が高い。理由はさまざまな自然現象が影響している。琵琶湖の水をそのまま使っているため、周囲の山々から雪解け水が流れ込む。春先から夏までは水位が上がるなどボートレースでは勝敗に大きな影響を与える水面が、季節によって上下するのだ。
さらに周囲の環境変化で水面にうねりが生じ、最初のターンをする1マークで決してインを取ることが有利ではなくなる。加えて、水質が淡水のため海水より浮力が働かない。ゆえに選手の体重の影響も出やすい。標高85メートルの場所にあり、気圧が低いためデリケートなモーターの出力が落ちてしまうなど、さまざまな条件を加味して予想をたてる必要がある。
イン逃げ率が低いということは、いわゆる〝鉄板レース〟が決まりにくく高配当も期待できる。かつての部下である西スポレース部デスクのような予想のプロでもレース展開が読みにくく「考えに考えぬいている」と話していた。ぐらんざ読者の皆さん、ネットや西スポ紙面を駆使してボートレースびわこの「西日本スポーツ杯」(12月17~22日開催)勝者を推理するのは、頭のトレーニングにうってつけではありませんか。
[文] 岡ちゃん(岡田雄希)
元西日本新聞記者。スポーツ取材などを経験し、現在ブログやユーチューブなどに趣味や遊びを投稿し人生をエンジョイするぐらんざ世代。