肌の痒みトラブルは乾燥にあり!?
担当医 安川皮ふ科医院
院長 安川 晋輔先生
最近、肌がカサカサになり痒みを伴うことはありませんか?もし痒みを我慢せず掻き続けると、赤く腫れ湿疹ができてしまうかもしれません。そもそも皮膚は、体内の水分保持や外からの刺激に対するバリアの働きをしています。しかし年齢を重ねると皮膚の保湿やバリアが失われ、ひび割れや皮がむける乾皮症になりやすくなります。もちろん乾燥は大敵。乾燥により痒みを伝える神経が肌の表面近くまで伸び、外からの刺激に敏感になるため痒みを感じやすくなります。特に湿度が低い冬は、60歳以上の約95%に下肢乾燥が認められるほど。さらに掻き続けると、痒みを起こす物質が増加するため悪循環。炎症が増悪し、皮膚炎が起こるため皮脂欠乏性湿疹になってしまいます。市販の塗り薬でかゆみなどの症状が改善しない場合は、病院で処方される抗炎症外用薬の併用が必要。痒みの程度により、起痒物質の発現を抑制する内服薬を用いることもあります。
痒みが生じやすいのは体が温まって血流が良くなり、副交感神経が優位に働く入浴や就寝時。衣類が触れる刺激なども痒みとして知覚されることがあります。皮脂欠乏性湿疹の予防法としては、その前段階である乾燥肌や乾皮症を改善すること。つまり皮膚の水分量と保水をアップさせるスキンケアと生活環境の改善が大切です。まず、タオルでゴシゴシ洗うのは肌バリアを壊すため泡で優しく洗い、保湿剤は入浴後に。肌のシワ方向に伸ばしながら塗ると浸透率が高くなります。また湿度が30%以下になると乾燥肌になりやすいため、適切な加湿を心掛けましょう。電気毛布は体が温まり過ぎて肌の乾燥を招くため要注意。さらに体に触れる肌着はゆったりとした木綿や絹がおすすめです。アルコールや香辛料など体がほてりやすい食品も痒みを誘発するので、気になる方は控えた方が良いでしょう。予防対策をしても症状がある場合は、早めに皮膚科受診をすることをお勧めします。
協力:福岡市医師会