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長谷川法世のはかた宣言48・豊前覚書

長谷川法世のはかた宣言48・豊前覚書


前号書いた、七堂伽藍の流・豊前覚書と、つぎつぎ襲いかかるスリルな疑問。博多はこうだ!と宣言したいのだけれど。

博多の本はたくさんあるが、出典や索引を書いたものが少ないのが残念だと話していたら、中洲の大阪屋の大女将※1 が「博多中洲ものがたり」には詳しく書いてあるという。実は積ん読していたので、早速開いてみた。上下巻の目次を見るだけで博多・中洲のエピソードが百花繚乱、よくぞここまで!

著者は中洲生まれの咲山恭三さん※2 。前書きに「博多の歴史は、郷土史家や古老の手によって、完璧に近いほど書き尽くされている」が、中洲についてのまとまったものがないので執筆を思い立ったとある。実は私も同じような思いから、先人の業績以外のところを勉強。けれど咲山さんと違って、難解な古文書などを読まずにすまそうと、楽に手にとれる本から読みはじめているのだけれど。

博多中洲ものがたりで、「豊太閤の博多再興」の項を見ると、太閤町割は「四水四応、四神相応の都市信仰にあやかって、博多の町を七条の袈裟になぞらえ」たと書いてある。前回引用した博多郷土史事典※3 とほぼ同じ。そして、このもっとも私が知りたい部分「四水四応四神相応…七条の袈裟」についての出典がないことも、残念ながら同じ。博多中洲ものがたりでは、町割について他の引用文は、宗湛日記・豊前覚書という典拠が示されているのになあ。ものがたりと事典が同じ事項で出典を書かないのは、周知の事実だからなんだろうか。けど、典拠不明の周知の事実ってアリなんだろうか。

諸書※4 をめくってみたが「四水四応…」についての記述は見あたらなかった※5 。ただ、石城志※6 の巻之十二には、「里俗の説に、博多の町の縦横は、七條の袈裟に表せりと云」。つまり、七条の袈裟は里俗の説、土地の言いならわしだと書かれている。とにもかくにも読むべき史料※7 は山ほどあるので、結論は宿題に。

さて、前回の文末に書いた豊前覚書※8 。これは、翻刻本の筑紫豊※9さんの序文によれば「箱崎八幡宮の自衛武士団として、立花城の道雪・宗茂二代に依存しつつ、戦国末期を賢明・周到に過ごした城戸友正・清種親子の経験体験」を清種が書き残したもの。他にはない博多町割が記してある。

町割の定説※10は、天正15年(1587)6月10日から。ところが、豊前覚書は違う。秀吉が黒田官兵衛に博多の町割を命じたので、配下の「(久野)四兵衛※11 方検者にてはり(割)申され候」「博多の儀はやけ跡にて高草生しげり申すに付いて、切り払ひ候へと申され候間、薪切り取りに箱崎千間(軒)の者え申し付け」、天正14年12月3日・4日に博多へ行き、吉日から町割をはじめ、12月21日に「成就申し候」となっている。定説より半年早いのだ。ようし、次もいろいろ考えようっと。

*1)※1大阪屋の大女将…西川ともゑさん。博多ごりょんさん・女性の会会長。福岡商工会議所副会頭。私のず~っと後輩。

*2)※2大正8年中洲生まれ。新聞社勤務からFBS福岡放送設立と同時に入社。昭和54年4月定年退職して、前編を9月、後編は翌55年11月に出版。

*3)※3博多郷土史事典…井上精三。昭62

*4)※4諸書…宗湛日記神屋宗湛/日本史ルイス・フロイス/筑前国続風土記貝原益軒1709/筑前国続風土記附録加藤一純・鷹取周成1798/筑前名所図会…奥村玉蘭1821/石城遺聞山崎藤四郎1890/とか。

*5)※5見あたらない…探しものを「無い」というな。「見あたらない」といえと子どもの頃亡父に教えられた。

*6)※6石城志…津田元雇・元貫1765

*7)※7読むべき史料…前回紹介の「土居流記録」は手もとに翻刻コピーはあるが翻刻者不明でまだ引用できない

*8)※8豊前覚書…城戸清種1615/翻刻本…「博多・筑前史料豊前覚書」著者城戸清種/校訂川添昭二・福岡古文書を読む会

*9)※9筑紫豊…箱崎生まれ。郷土史家。1904—1982

*10)※10町割の定説…筑前国続風土記/宗湛日記/石城志/日本史などの記述

*11)※11久野四兵衛…播州以来の黒田官兵衛家臣、家老職。天正14年怡土郡高祖の城攻めに一番乗りし秀吉の御感に預かる。朝鮮にて戦死。(御家人先祖由来記貝原益軒新修福岡市史資料編近世②より)

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