根ショウガと新ショウガ 種類は同じ?
私たちが普段目にするショウガには、スーパーなどで通年手に入る薄土色のゴツゴツした根ショウガ(「ひねショウガ」や「囲いショウガ」とも言われる)と、旬の時期だけに出会える白っぽく茎の付け根が赤く色づいた新ショウガがあります。
根ショウガは収穫後2カ月ほど貯蔵庫で寝かせ、熟成させてから出荷されるのに対し、新ショウガは収穫後すぐに出荷されます。そのため、新ショウガは水分が多く傷みやすいという欠点はありますが、辛みがマイルドでシャキシャキとした歯ごたえが魅力です。
薬味や料理に使うより、千切りや酢漬けなど、ぜひとも生で、ショウガ自体を味わう食べ方をおすすめします。
■ショウガの種類
新ショウガ

早採り、または収穫したてのショウガのこと。白く爽やかな香りとみずみずしさがあり、辛みもマイルド。繊維が少ないのが特徴。
根ショウガ

収穫後、低温の倉庫で一定期間貯蔵したもの。皮は飴色、中身も濃い黄色へと変化。辛み成分が徐々に増え繊維もしっかりしていく。
親ショウガ

栽培する際に「種」として使用したショウガのこと。子株に養分を吸収されているため硬く辛みが強い。主に加工品に使用される。
葉ショウガ

根茎がまだ小さいうちに、葉が付いた状態で出荷される。辛みが少なく、生でもおいしく食べられるのが特徴。茎をつけたまま味噌につけたり甘酢漬けや天ぷらなどもおすすめ。特に「谷中ショウガ」という品種が有名。
年に2度訪れる 新ショウガの旬
新ショウガがスーパーなどの店頭に最も多く並ぶのは6月から8月頃。この”夏の新ショウガ“はハウス栽培のものです。
一方、自然の気候の中で育つ露地栽培の新ショウガの旬は、これから迎える9月から10月の秋。
福岡市の筥崎宮で毎年9月に開催される「放生会(ほうじょうや)」では、採りたてのみずみずしい新ショウガが屋台に並び、名物のひとつとなっています。
まさに万能薬! ショウガの栄養パワー
ショウガは、その独特の風味から香辛料や薬味として用いられていますが、多彩な薬理効果と健康増進効果があるため、昔から世界中の伝統医療や民間療法で利用されてきました。
インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」では、消化力を高め体を温める”万能なハーブ“として重要視され、約150種あると言われる漢方薬では、そのうち7割以上に生薬としてショウガが使われています。
また、アメリカ国立がん研究所が発表した、がん予防に効果的な食品ピラミッド「デザイナーフーズピラミッド」ではトップ群に分類されており、最近では国内外問わず、がんの予防や治療に役立つという研究報告も多くされています。
加熱によって効果が変わる 夏と冬の上手な使い分け
ショウガにはビタミンやミネラルなどの栄養素が含まれていますが、ほかの野菜に比べ特に多いわけではありません。
注目すべきは、ショウガ特有の辛み成分である「ジンゲロール」と「ショウガオール」です。
ショウガと言えば、体をポカポカと温めてくれるイメージがありますが、体を温める働きがある一方で、熱を下げる作用があることも特徴です。これにはジンゲロールとショウガオールが関係しています。
いずれも血管を広げて血流を良くする効果がありますが、生のショウガに含まれるジンゲロールは体の深部の熱を末端に広げて発汗を促し、体にこもった熱を逃がす効果があります。
ショウガを加熱したり乾燥させたりすると、ジンゲロールがショウガオールに変化します。消化器系を刺激して働きを活発にすることにより、体を芯から温めます。これが「ジンゲロールは体を冷やす」「ショウガオールは体を温める」と言われる所以です。
つまり、夏には発汗を促し体の外に熱を逃がしてくれる”生“のショウガ、冬には体の中から温めてくれる”加熱または乾燥したショウガ“と使い分けると良いでしょう。
これらショウガ特有の成分にはほかにも、殺菌作用、抗酸化作用、食欲増進、免疫力アップなど、さまざまな薬効があります。
季節は間もなく露路ものの新ショウガ収穫の時期。ぜひ”生“で旬を味わい、ショウガパワーを上手に活用して、残暑を乗り切りましょう。

夏はこう使う! 生ショウガの活用法
■皮はどうする?
香りや風味、栄養など、ショウガ特有の成分は皮のすぐ下に多いので、皮はむかないで皮ごとすりおろす、またはスプーンで皮を薄くこそげ取る程度で利用するのがおすすめです。
すりおろして
冷奴、焼きナス、冷たいうどんやそば、刺身の薬味に。スムージーやジュース、ドレッシングに風味をプラスしても。また、乳製品との相性も良いので、バニラアイスやヨーグルトに入れるのもおすすめ。
おろし金に繊維が垂直になるように立てておろすと繊維が細かく切れてなめらかに。よく使う人はすりおろして冷凍しておくと便利。
千切りにして
鰹のたたきやサラダにたっぷりと。和え物やちらし寿司のアクセントにもぴったり。
繊維に沿って切れば舌ざわりがなめらかで、和食にぴったり。繊維を断てば粗さを感じるワイルドな食感になり、アジア料理との相性が抜群。千切り後に水にさらすことでアクが抜け、辛みが和らぎます。

※胃への刺激が強いのでショウガの食べ過ぎには注意が必要です。1日の摂取量の目安は10グラムです。(農林水産省)