本日は「高血圧」についてお話しします。高血圧と言うと「年を取れば誰でも上がるもの」とか「体質だから仕方ない」と考えている人がいるかもしれません。しかし、高血圧は年齢だけのせいではありません。生活習慣を改善することで、克服できる病気です。
血圧が高い状態が続くと、血管の壁に強い圧力がかかります。長く続くと、血管がだんだん硬くもろくなります。いわば、ホースに強い圧力をかけ続けているわけです。その結果、脳卒中や心臓病、腎臓病など深刻な病気のリスクが高くなります。逆に言うと、血圧を上手にコントロールできれば、血管の老化をゆるやかにして健康寿命を延ばすことができます。
血圧を下げる一番の薬は、生活の工夫です。まずは減塩。日本人は塩分を取り過ぎる傾向があります。例えば「みそ汁を一日一杯にする」「漬物を食べる回数を減らす」「調味料を『かける』のでなく『つける』にする」。これだけでも立派な減塩になります。
次に運動。特別なことをしなくても一日30分の速歩や買い物の時に少し遠回りをするだけで十分。続けることが大切です。
日々のストレスを減らし、十分な睡眠を心がけてください。寝不足やイライラは血圧を上昇させる原因になります。深呼吸をして心を落ち着かせることも立派な「治療」の一つです。
血圧を測ると、数字が気になりますよね。日本高血圧学会のガイドライン(2025年版)では家庭での「正常血圧」は上(収縮期)が115未満、下(拡張期)が75未満です。もちろん、これは基準として大切ですが、数値に一喜一憂しないようにしてください。
自分の血圧を正確に把握するために一日2回、朝晩、同じ時間、同じ姿勢で測定するようにしてください。2回測って平均を取るやり方もお勧めです。自分の平均値を知ることから始めましょう。
血圧の薬は「一度飲み始めたら一生やめられない」と心配する人がいます。降圧剤は「血圧を下げる薬」と言うより「血管を守る薬」。きちんと飲み続けて血管を守ることが大切です。数値が落ち着けば医師と相談して薬を減らすことも可能です。
毎日、血圧を測って自分の体の変化に気付くことが大切です。それが脳卒中や心不全を防ぐことにつながります。
担当医 梅野小児科内科医院 院長
古山 正大 先生
協力:福岡市医師会