相続の話は、子どもからは切り出しづらいテーマのひとつです。しかし、話し合いを避け、放置してしまうと、相続手続きが複雑化・長期化したり、大きなトラブルを招いたりすることもあります。そのようなリスクを回避し、自身の希望を実現するため、元気なうちに話し合っておくことが大切です。
家族が集まる年末年始は、相続の話をする良い機会のひとつ。今年は、みんなで話してみませんか?
check1 何を相続する? 相続財産の種類と範囲
相続財産(遺産)とは、被相続人(亡くなった人)から相続人に引き継がれる財産を指します。代表的な例としては、預貯金や自宅の土地・建物などがあります。ここで注意しなければいけないのは、相続の対象となるのはプラスのもの(積極財産)だけではなく、借金などマイナスのもの(消極財産)も含まれるという点です。また、相続の対象とならない財産もあります。
被相続人でなければ存在を把握しにくい財産もあるので、亡くなってから相続財産を確認する場合、多くの時間と手間がかかってしまいます。
■プラスの財産(積極財産)
・現金、預貯金
・動産(自動車、家財、船舶、貴金属類、書画、骨董品など)
・不動産(土地、建物、借地・借家権など)
・債権(有価証券、ゴルフ会員権、貸付金、売掛金など)
■マイナスの財産(消極財産)
・負債(借入金、クレジットカードの利用代金、買掛金など)
・未払税金(所得税、住民税、固定資産税など)
・未払費用(水道光熱費、家賃、医療費、介護費用など)
■相続の対象とならない財産
国家資格、生活保護受給権、親権、葬儀代、墓地、墓石、仏壇、生命保険金、死亡退職金など
※民法の規定では相続財産にならないものであっても、税法では相続税の課税対象になる場合があります。例えば、生命保険金や死亡退職金は、一定額を超えると相続税が課税されます。
check2 誰が相続する? 法定相続人とは?
民法によって定められた「遺産を相続する権利を持つ人」を法定相続人と言います。具体的には、亡くなった人の配偶者と子、父母、兄弟姉妹です。子が亡くなっている場合は孫が、兄弟姉妹が亡くなっている場合はおい・めいが相続権を持ちます。家族構成に応じて、相続の割合が定められています(法定相続分)。それ以外の人や、それ以外の割合で遺産を受け取るためには、ルールに基づいて作成された遺言書が必要です。
■法定相続人の範囲と順位
■法定相続分と遺留分
| 相続人 | 法定相続分 | 遺留分(※) | ||
|---|---|---|---|---|
| 配偶者と子 | 配偶者 1/2 | 子 1/2 | 配偶者 1/4 | 子 1/4 |
| 配偶者と父母 | 配偶者 2/3 | 父母 1/3 | 配偶者 1/3 | 父母 1/6 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者 3/4 | 兄弟姉妹 1/4 | 配偶者 1/2 | 兄弟姉妹 なし |
| 配偶者のみ | 全部 | 1/2 | ||
| 子のみ | 全部 | 1/2 | ||
| 父母のみ | 全部 | 1/3 | ||
| 兄弟姉妹のみ | 全部 | なし | ||
※遺留分とは、一定の相続人に最低限保証される遺産取得分の割合のこと。遺族の生活を保護し、相続における不公平を防ぐために設けられています。
白浜FPのアドバイス “争族”を防ぐために、話し合いと遺言書の作成を
相続はどの家庭にも発生しますが、「財産が少ないからもめない」とは限りません。話し合いがまとまらず、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件の約8割は、遺産5000万円以下(※)。大切なのは、税金対策以上に“家族の関係を守る準備”です。「親が元気なうちに話しておけばよかった」との声を聞くと胸が痛みます。年末年始は家族が集まる好機。いきなり“遺言書”ではなく「最近こんな話を聞いてね」「もしもの時に家族が仲良くできるように」など、思いやりの気持ちから話し合いを始めてみましょう。
※出典/最高裁判所事務総局「令和6年司法統計年報」
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