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福岡麺人生69杯目・元祖の味を守り抜く 辛麺本舗さやか

福岡麺人生69杯目・元祖の味を守り抜く 辛麺本舗さやか


「辛麺本舗さやか」
宮崎県延岡市川原崎町175-1
午前11時半〜午後2時半、午後6時〜午後8時半 火曜定休
辛麺(中辛)930円

 20年近く前だろうか。初めて「宮崎辛麺」を食べたのは福岡・中洲にある「辛麺屋桝元」だった。当時から人気はあった(今も営業しています)が、夜のみの営業で「知る人ぞ知る」存在だったのは否めない。

 近年、その辛麺がブームとなっている。全国各地で宮崎辛麺を掲げる店がオープンし、路面店やフードコートで食べられる「身近な存在」になった。発祥の地は宮崎県延岡市。今回紹介する「辛麺本舗さやか」は、その元祖として知られている。

 メニューを見ると、小辛、中辛、大辛、そして特辛、激辛まで選べる。中辛を注文してしばし待つと、大ぶりな丼が運ばれてきた。唐辛子が浮いた赤いスープに黄色の溶き卵、緑のニラが映える。まず一口。印象は「うまみがあって、思ったほど辛くない」である。

 感想を伝えると、店主の藤田紀佳さん(51)は「韓国産の唐辛子だからでしょう。父と母のこだわりでした」と話した。藤田さんの両親、原田武明さん(故人)と延子さん(78)こそが宮崎辛麺の生みの親なのだ。

「発祥の味を食べに来てください」と藤田紀佳さん

 誕生のきっかけも教えてくれた。2人は1984年に延岡市の中心部で小料理屋「桝元」を開いた。和食の店だったらしいが、3年ほどたった頃に裏メニューを考案。その一品こそが辛麺だったいうわけだ。

「参考にしたのは川崎で行きつけだったお店の麺料理です」。

 藤田さんは子どもの頃、神奈川県川崎市に10年ほど住んだ時期があった。当時、両親が好きだったのが「元祖ニュータンタンメン本舗」の名物メニューだった。川崎のソウルフードでもあるタンタンメンは唐辛子の赤に染まった鶏がらスープで、溶き卵が載る。確かにルックスは似通っている。ただ、麺が違う。

 スープの中から麺をつまみ上げてみた。すると中華麺ではなく、透明感を残した麺が姿を現す。「こんにゃく麺です」と藤田さん。といっても、こんにゃくを使っているわけではなく、そば粉を使う。韓国冷麺のような弾力があり、あっさりでツルっと胃に収まった。韓国産唐辛子に、韓国冷麺のような麺…。川崎にはコリアンタウンがあったため、身近な食材でもあったそうだ。

 裏メニューは口コミで広がり、看板メニューになった。藤田さんは18歳から手伝い、自身も繁華街に桝元中央店を開いて独立している。

 その後も勢いは止まらない。直営やフランチャイズで店舗を広げる(中洲の店もその頃からという)。しかし急速な拡大によって経営は悪化。2002年に会社売却にまで追い込まれた。

「その時、両親の本町店と私の店だけは売らずに、『桝元』の名前のままで営業を続けたんです」

 売却先の企業(現在の株式会社桝元)は積極的な展開で辛麺ブームを主導することになる。一方の藤田さんは17年、中央店を現在の場所に移転する際に屋号を「辛麺本舗さやか」にした。20年には延子さんの年齢のこともあり本町店を手放した。

 ただ、店名は変わっても、源流につながる味は、地元客や県外客たちをひきつける。「本場の辛麺を食べに来てもらうことで、延岡への恩返しになれば」。

 川崎から始まり、延岡で花開いた味は、辛苦も乗り越えて受け継がれてきた。大きな丼にはさまざまな思いと歴史が詰まっている。

文・写真小川祥平

1977年生まれ。「のぼろ編集部」編集長。
著書に「ラーメン記者、九州をすする!」。「CROSS FM URBAN DUSK」内で月1回ラーメンと音楽を語っている。

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