高齢者の多くは老化現象により、血管がもろくなり少なからず動脈硬化を起こします。放置すると心臓病や脳血管障害、閉塞性動脈硬化症などになります。さらに糖尿病があれば心臓だけでなく頸部動脈、大腿動脈など全身に血液を送る管である動脈が徐々に〝錆びていく現象〟が起きます。
糖尿病に加えて、喫煙やコレステロールが高くなる脂質異常症などにより血液がドロドロになると、血管に悪玉コレステロールなどの老廃物がたまります。血管が凹凸になり最終的に硬く狭くなってしまいます。動脈硬化は〝お粥〟状の老廃物が血管に沈着するため、医学用語で粥状硬化とも呼ばれます。高血圧も激しく収縮する動脈に負担がかかることで動脈硬化になりやすくなります。
動脈硬化による病気は、脳の動脈が狭くなり詰まることで発症する「脳梗塞」、心臓の冠動脈が狭くなり軽い運動でも胸が苦しくなったり息切れしたりする「狭心症」、冠動脈が突然詰まる「心筋梗塞」などが挙げられます。ほかにも「大動脈瘤」「大動脈解離」など動脈硬化に起因する病気はいずれも死亡率が高いのが特徴です。
予防するには日頃からの血圧管理、肥満防止に体重管理が重要です。先に述べた粥状硬化を防ぐには、さらさら血液を目指すことも大切です。たばこを吸う人は禁煙、悪玉コレステロールを下げる、糖尿病にならない、もしなっていても血糖値をきちんとコントロールをすることです。そのためには、生活習慣の改善に心がけてください。もし、難しければかかりつけ医に相談し、お薬による内服治療も受けましょう。
動脈硬化を起こしている場合、急に血圧が上がるようなことをすると危険です。運動をする場合は準備運動をしてから運動をしてください。さらに気をつけてほしいのは入浴です。入浴時は体に負担がかかり血圧変動を起こしやすいことがわかっています。入浴時の突然死が意外に多いのです。湯船につかるのは5分以内にして、ゆっくり入る。湯船から出る時は血圧が下がっているのでゆっくり立ち上がるようにしてください。これから迎える冬場は入浴前後に体温が急激に変化しないように脱衣場を暖かくしてください。
担当医
九州中央病院 循環器内科
小田代 敬太(おだしろけいた)先生
協力:福岡市医師会