今の気分はCCRだったが…
中学時代にカンニングの罪に問われた。英語の試験中に後ろの席の友人が鉛筆で背中を突いてきた。「リバイバルのスペルはRで始まるよな」と聞いてきた。私は「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、CCRじゃろうもん!」と得意げに言った瞬間、試験監督の教師から「お前、カンニング!」の声がかかった。教えたにもかかわらず両親からはこっぴどく叱られ、テストはもちろん0点になった。
長かった緊急事態宣言が解除されたが気分が晴れない。長い雨が未だに降り続いているような気分だ。米国のロックバンドCCRの作詞作曲をしていたジョン・フォガティは1970年に「フール・ストップ・ザ・レイン(Who'll Stop The Rain)」を発表。当時、米国政府が積極介入していたベトナム戦争に対し、降り続く雨に例えて若者が抱える厭戦気分を歌った。翌1971年には「雨を見たかい」という曲が米軍のベトナム空爆時に使ったナパーム弾をイメージしている(本人は否定している)と米国で一時放送禁止になった。
アホな中学生だった当時の私は、ジョン・フォガティの気持ちを理解していなかった。だが半世紀が過ぎ、コロナ禍を経験して歌詞にある「雨」が意味するやるせない気分が理解できるようになった。ホコリを被っていたギターを引っ張り出し、弾いてみた。
練習に疲れて深夜にラジオをつけたら偶然、大学時代の親友でスターダスト☆レビューの根本要君の歌声が聞こえてきた。NHKラジオ深夜便の歌として「やっぱり会いたいよ」が流れていた。10、11月は毎日オンエアされているそうだ。根本君はこの曲を作るにあたって「皆さんに『明日は今日より絶対に楽しい』とイメージしてほしくて作った曲です。現実にはそう簡単に思うようにならないことも重々わかっています。でもイメージも持てずうつむいて暮らすより、絶対に希望はあるんだと信じることで変わることもあるはずです」と話している。
CCRの「雨」をイメージにした楽曲も今の気分にぴったりだが、「やっぱり会いたいよ」はコロナ禍後の鬱々とした気分を振り払い、聞いているだけで元気にしてくれる。次にギターで挑む楽曲が決まった。
文・写真 岡ちゃん
元西日本新聞記者。スポーツ取材などを経験し、現在ブログやユーチューブなどに趣味や遊びを投稿し人生をエンジョイするぐらんざ世代。