不思議な翳りの姿を漂わせるニューヨークメタルの元祖
’72年にヘビーメタルの元祖と呼ばれるブルー・オイスター・カルトが本作「狂気への誘い」をリリースしてデビューを果たす。ブリティッシュ・ハードロックのイメージを踏襲しながらも黒魔術的なイメージを漂わす歌詞と哀調漂うメロディのハードロックを展開する。おどろおどろしさを強調するためか「悪魔同盟」「悪魔ののぞき眼鏡」「底なし地獄」など邦題もこだわっているようだ。
鬼才プロデューサー、サンディ・パールマンが全面的にバックアップしてパティ・スミスが曲作りにも協力するなど、彼らに対する期待感は絶大であった。オルガンが絡む曲もあるが基本はギターバトルを展開する方法で進行してゆく。後に、ライヴの模様がビデオで紹介されたが、ギター4本を突き合わせるバトルも飛び出すなど彼らのワイルドなステージも話題となり、他のバンドにはない魅力となっていくのだった。
彼らの原点となった本作はモノクロのジャケットにシンボルとなる鉤十字があしらわれ、底知れぬ不安感を呼びさます。彼らは今でもバンド活動を続けているが、アナログ盤で本作が再発売されている。当時の感動を再び味わうことができるはずだ。
この作品から2作目、3作目とサウンドも密度を高めて4作目のライヴ盤で完全燃焼!
その原点となるアルバムである。
相川 潔
元広告会社社員・長崎市生まれ熊本市在住。
ジャズ、ロック、ソウルなどのレコードを追い求めて数十年。名盤、奇盤多数。
レコードは盤、ジャケット、再生機を含めて楽しむべき芸術だと思います。