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長谷川法世のはかた宣言51・フロイスの町割

長谷川法世のはかた宣言51・フロイスの町割


豊前覚書・宗湛日記に書かれた博多町割を見てきたが、こんどはルイス・フロイスの大著「日本史 」※1に見る博多町割だ。

フロイスはポルトガル生まれのイエズス会宣教師。1532年から日本に30年あまり滞在。織田信長とは18回も会っていて、本能寺の変についての記述も詳しい。
豊臣秀吉の九州平定のときには、ガスパル・コエリュ※2 とともに夏の博多町割の場にいた、ようだ※3。

関白秀吉は薩摩の島津氏を平定したあと、《博多に到着すると、そこに二里にわたって陣営を設けた。…(コエリュ)師は…ただちに仲間たちとともにフスタ船で姪浜から博多に赴いた》

姪浜には織田信長から将軍の座を追われた足利義昭がいた。秀吉の九州下向にともなって姪浜に滞在していたのだ。コエリュが会いに行くと、自分が将軍に返り咲いたら日本中をキリスト教にする、と大言を吐いたという。

秀吉は《箱崎と呼ばれるところに陣屋を構えていたが、七月十九日※4[陽暦。和暦6月14日]、日曜日に、博多の古くからの住民たちに対し、地所と街路の区割りを行うことに決めた。
関白※5がそのために多くの船を率いて海上に出たところ、(コエリュ)師はそのようなことをなんら知ることなく、ちょうど時を同じくして関白が乗船した浜辺に到着した。関白はフスタ船を見つけると、急ぎ船を漕がせ、見る見るうちに司祭らがいるフスタ船に乗り込んで来た》

秀吉はフスタに乗ったまま博多へ着いた。

《フスタ船が浜辺に着くと、前面には、新たな博多の市に住むことになる約千名の人たちが勢揃いしていた。彼らは二種の贈物、すなわち一つは銀棒(複数)をのせた大きい盆、他は米から造られた日本酒の小樽約五十、そのうえ鳥、魚その他の食料品を携えて来ていた。
関白は、彼らが貧しく寄るべない者が多かったので、それらの銀を彼らに返し、贈られたその他の食料品は、自分がまだ乗っていたフスタ船にことごとく積み込ませ、副管区長に与えよと命じた》

フロイス「日本史」では、博多商人の進物である食品はことごとく宣教師に与えられたことになっている。宗湛についての記述はない。宗湛日記では、進物の内「銀子一枚ばかり召し上げられ候。そのほかの物は博多に下され候」と書かれている。

フロイスは、秀吉が《まだ乗っていたフスタ船に》と書いている。秀吉は下船せずに船上で町割にあたったのかも。なにしろ、関白 …だし。

博多町割については各書で書きかたがことなる。
豊前覚書の冬の町割は、日付は明確、描写はいきいきで創作とは考えにくい。が、夏の町割にはひと言もふれていない。豊前覚書は果たして全部覚書(笑)しているのか。

いっぽう、フロイス・宗湛・益軒、また増益黒田家臣伝のどれも夏の町割しか書いていない。
フロイスは、秀吉が黒田官兵衛に罵詈雑言を浴びせた、また貝原益軒は、秀吉が孝高の大志あるを忌み給い、と書いている。

大志とは? 待て次号!

*1)「日本史」…長く世界に散逸していたがつぎの訳本によって1977年ようやく全貌が明らかになった。「フロイス日本史」松田毅一・川崎桃太訳全12巻/中央公論社。今回は、ほぼ文庫版(完訳フロイス日本史・全12巻/中央公論新社)を使用。フロイスの略歴も訳本の序文による。引用文中[ ]内は長谷川補記。《 》は訳本のママ。「 」の引用は読みやすくしたもの。

*2)ガスパル・コエリュ…コエリョとも。ポルトガル人のイエズス会日本初代副管区長。秀吉の伴天連追放令が出ると長崎を武装し教会領を守ろうとした。実現前に病没。(ブリタニカより)

*3)ようだ…フロイスの文章はわかりにくい。そのうえ翻訳書が日本の人物ごとにまとめてあるのでわかりにくい。

*4)七月十九日…和暦6月14日は日本史の文庫版12巻末の年表による。宗湛日記では秀吉は和10日にフスタで博多着。《同十一日よ博多町ノサシ図ヲ書付ラレテ十二日ヨリノ町ワリ也》。13日朝箱崎・天王寺屋宗及の茶会(秀吉参加)に宗湛出席。14日昼箱崎・利休の茶会に宗湛・宗室・宗仁三人。その後千紹安の茶会に宗湛・宗仁両人が客、と書く。

*5)摂政は幼帝、関白は成人した帝を補佐する、貴族の最高位。秀吉は天正13年関白、19年に関白を秀次に譲って太閤(前関白の尊称)と称した。したがって15年の博多町割を太閤町割というのはあとづけになる。

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