本サイトはプロモーションが含まれています。

岡ちゃんのきまぐれ散歩術 17 酔いざましの路地で出会った"長崎の女傑"

岡ちゃんのきまぐれ散歩術 17 酔いざましの路地で出会った"長崎の女傑"


 長崎の街を旅人として歩いた。転勤族として九州各地を転々としてきたが、不思議と長崎だけは縁がなかった。その"空白"を埋めるように、気の合う仲間のひと言が背中を押してくれた。「長崎の町中華でちゃんぽん、どうです?」。健啖家の友人らしい誘いに、私は即座にうなずいた。美味を求め歩けば、このコラムの絶好の素材にもなると思ったからだ。

 午前の博多駅を出発し、JRでいざ長崎へ。ホテルのチェックイン前にチンチン電車に揺られて目的地の町中華へ向かった。ちゃんぽんで収めるつもりが、旅の解放感は恐ろしい。「餃子(ギョーザ)」「炒飯(チャーハン)」そしてジョッキの生ビールまで追加。昼間からの背徳のうまさを堪能した。

 夜は夜で、長崎勤務経験者の別の仲間が案内してくれた居酒屋をはしご。シニアのおっさん旅の悪い癖で、ホテルへ戻る途中、コンビニで酒とつまみを買い足し、未明まで語り尽くした。20年も眠り続けた「米国版浦島太郎」の主人公リップ・ヴァン・ウィンクルよろしく、私たちも眠り続け昼前のチェックアウトぎりぎりにようやく目を覚ました。

 ところが健啖家の友人は元気いっぱいだった。「さあ、締めのちゃんぽんへ!」。二日酔いの胃を押さえつつも"大食いの性"には抗えず、再び麺をすすった。ふと我に返る。読者に伝えるべきは、長崎の"散歩"の話ではなかったのか!?

 そんな私を見かねたのか、別の仲間が誘ってくれた。「崇福寺へ行きません?」。再び150円のチンチン電車に揺られ、国宝に指定されている寺やその周辺を散歩した。すると「大浦けい居宅跡石碑」がひっそり立っていた。幕末に日本茶輸出を切り開き、坂本龍馬や高杉晋作らを支えた商人・大浦慶。日本、中国、オランダの〝和華蘭文化〟が育まれた長崎で、彼女の存在感が不意に胸に迫った。

 この原稿を書いていたら、西日本新聞の見出しが目に留まった。「日中関係冷えても手を携え長崎市で友好親善の墓地清掃、今年も」。長崎を歩いた後だからだろう。歴史と文化が交じり合う長崎の街ならではの穏やかな希望のニュースに思えた。酔いざましの散歩が運んでくれた、ささやかな発見だった。

文・写真 岡ちゃん

ぐらんざ世代の代弁者としてnoteなどで発信。
ぐらんざはじめ雑誌やさまざまなSNSで、
ライターとして活躍中。

関連するキーワード


岡ちゃんのきまぐれ散歩術

最新の投稿


ぐらんざ2026年1月号プレゼント

ぐらんざ2026年1月号プレゼント

応募締切:2026年1月21日(水)




【オーエン×ぐらんざ】今が資産形成の始めどき! NISAで未来のお金を増やそう

【オーエン×ぐらんざ】今が資産形成の始めどき! NISAで未来のお金を増やそう

豊かな人生のため「資産づくりを始めたい」オーエンは、そんなあなたを応援する マネー情報コーナーです。


博物館・美術館

博物館・美術館


発行元:株式会社西日本新聞社 ※西日本新聞社の企業情報はこちら