てんかんは、大脳の神経細胞が異常興奮して起こる種々の症状を伴う反復性の発作です。
非常によくある病気で、神経系ではおそらく一番多く、誰にでも起こりうる疾患です。よく、「てんかん=痙攣や失神」と誤解されることがありますが、てんかんは病名で、発生する症状の一部に痙攣(けいれん)や失神があるという位置づけです。
てんかんには、大きく分けると原因がはっきりしない特発性のものと腫瘍や血管障害などが原因で脳の一部が傷ついたことにより起こる症候性のものがあります。特発性では、発作起始時より全身に症状が出現しますが、症候性では体の一部から発作が始まり全身に広がっていくことが多いとされます。
今は有効な治療薬も開発されており、正しく服用すれば日常生活も支障なく送ることができます。ただし、そのためには、どういう種類のてんかんであるのかを正しく見極める必要があります。病院でも検査はできますが、正確な診断をするためには、発作が起こった時の状態を把握する必要があります。必ずしも発作状態の時に診察ができるわけではありませんので、発作が継続している時間を測り、症状が体のどの部分から出たのかをよく観察し、それを医師に伝えることで、正しい診断と治療が可能になります。
またてんかんは、脳が異常興奮にある状態なので周囲で騒ぎ立ててはいけません。「大丈夫?」などの声かけや早急な救急要請は逆効果です。救急車は、5分以上発作が続いている場合に呼んでください。できるだけ刺激を少なくするために明るさを加減し、ベルトなどの着衣を緩めて静観してください。呼吸が苦しそうな時は顎を少し上向きに傾けると息苦しさが緩和されます。入浴中やプールなどの水中で発作が起こった場合は、溺れないようにお風呂では湯を抜き、顔を上げるだけにして、水中から慌てて引き上げることは避けましょう。
発作が起こりやすい状況に陥らないために、睡眠不足、過度なストレス、高熱に気を付けてください。規則正しい生活習慣を心がけることで要因を減らすことができます。
担当医
地方独立行政法人福岡市民病院機構
福岡市民病院 脳神経外科
平川勝之(ひらかわ かつゆき)先生
協力:福岡市医師会