血圧とは心臓が送り出した血液が全身を流れていく際に、血管の内側にかかる圧力のことをいいます。
一般に言われる「上の血圧」とは正式には「収縮期血圧」または「最大血圧」といい、心臓が収縮して血液を送り出すときに動脈にかかる一番高い圧のことです。また「下の血圧」は正式には「拡張期血圧」または「最小血圧」といい、心臓が拡張したときの最も低い圧のことを言います。
以前は、高血圧の基準は現在よりも緩いものでしたが、20年以上前に見直され世界的に収縮期血圧が140 mmHg以上、または拡張期血圧が90 mmHg以上となっています。この数値を超えると血圧が正常な人と比較して脳卒中や心臓病の発症リスクが2倍以上になるという科学的な根拠に基づいたものです。
高血圧は動脈硬化を進行させ、血圧が高くなるほど狭心症や心筋梗塞、脳卒中や腎不全、大動脈解離や動脈瘤などの病気になるリスクが大きくなっていきます。
高血圧の予防には健康的な生活習慣が重要です。
まずは、食塩を取り過ぎないこと。食塩に含まれるナトリウムは、体内の水分量を増やし血圧を上げる原因となります。世界保健機関(WHO)は、1日5g以下に抑えるよう推奨しています。日本では健康増進法に基づいて令和5年度までは1日8g、6年度からは7gを食塩摂取量の目標値としています。
また肥満の人は、減量が改善につながることもあります。定期的な運動やバランスの良い食事を心がけて体重管理も行いましょう。お酒の飲み過ぎも要注意です。喫煙は高血圧以外にさまざまな病気の原因となります。禁煙を心がけてください。
そして、自分の血圧を知ることが大切です。朝と寝る前の2回測るといいですね。家庭での血圧値が135/85 mmHg以上であれば高血圧の可能性が高いので、早めに医療機関を受診してください。年を取ったら血圧が少しくらい高いのは当たり前、放っておいても大丈夫と思う人もいますがそれは大きな間違いです。高齢者の血圧が高くなるのは、血管が老化により硬くもろくなり弾力性が失われた結果なのです。そこに高い圧が加われば命に関わる病気を引き起こす可能性があります。高血圧は症状が出ないまま進行することが多いので、自覚症状がないからと油断せず、自分の血圧を把握して早めの対策をしましょう。
担当医 内科循環器科田代医院 院長
田代 英一郎(たしろ えいいちろう)先生
協力:福岡市医師会