本格的な冬が到来し、感染症も増えてきています。感染症とは、病原体が体内に侵入して起こる病気のことを指しますが、体内に病原体が侵入してきただけでは感染したとは言えません。侵入してきた病原体が体内で増殖してはじめて、感染したということになります。また感染が成立したら必ず症状が出るわけではなく病気が発症する顕性感染と、症状の現れない不顕性感染があります。感染症予防には、感染源を断つこと、感染経路をふさぐこと、そして抗体を持つなどの免疫力があることが重要です。
抗体を持つためには、ワクチンを打つことが有効です。重症化が心配される新型コロナウイルスや、冬場にはやるインフルエンザウイルス、肺炎球菌にはいずれもワクチンがあります(肺炎球菌ワクチンは65歳から定期接種)。また、免疫力を高めるためには規則正しい生活をする、バランスのとれた食事をする、運動するなど、生活習慣を整えることが大切です。日常を見直し感染症に負けない体を作りましょう。
冬場に多い下痢や嘔吐といった消化器症状を起こす感染症の代表的なものがノロウイルスです。このウイルスは二枚貝にいるウイルスで、カキの生食などで感染し、嘔吐、下痢、発熱の症状が現れ、高齢者は重篤な脱水症状を起こすことも。一番の対策は、二枚貝は十分に加熱して食べることです。感染者のもどしたものなどからも感染するため、ウイルスが付着したと思われる場所は、薄めた塩素系漂白剤で処理しましょう。ノロウイルスはアルコールでは死滅しませんので注意が必要です。
これらの感染症が冬場に増える理由としては、空気が乾燥していることがあげられます。飛沫感染の場合、くしゃみや咳をすることで感染者の口から飛沫とともに病原体が飛び出します。飛沫は空気中の水分を吸着し、塊が大きくなって地面に落ちます。空気が乾燥していると、病原体を含んだ飛沫が空気中を漂う時間が長くなり感染する可能性が上がるのです。
症状が現れた場合は原因の特定が大切ですので、まずはかかりつけの先生に相談してください。発熱の場合は、発熱外来で対応することが多いので、まずは医療機関に電話で問い合わせてから受診するように心がけてください。
担当医
西内科医院 内科
西 秀博(にし ひでひろ)院長
協力:福岡市医師会