映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』
監督:波多野貴文
脚本:吉田恵里香
原作:小森陽一
出演:波瑠、西島秀俊、岡山天音、深水元基、柄本 明 他
配給:HIGH BROW CINEMA、ファントム・フィルム
◎10月26日(金)より
ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ トリアス久山、シネプレックス小倉他にて公開
本気になったら人生が変わる!?
本作の舞台は「グリーンランド」。熊本県荒尾市にある、おなじみの遊園地だ。
波瑠さんが演じるのは、ここで働く新入社員・波平久瑠美。彼氏と同じ、超一流ホテルチェーンに就職したものの、系列会社が運営する地方の遊園地に飛ばされる。そこには“魔法使い”の異名を持つカリスマ上司・小塚慶彦(西島俊秀)はじめ、個性あふれる従業員たちが待っていた。はじめは空回りしながらも、次第に仕事の楽しさや、やりがいに目覚めていくヒロインの成長譚である。
「映画を観て元気になってもらいたい、明日から頑張ろうと思って欲しいというのが一番です」と波瑠さん。
「人生挫折したり、壁にぶち当たったりすることも多いと思いますが、自分次第で仕事や周りとの関係が急に上手くいったりすることもある。楽しめるかどうかはやっぱり、すべて自分次第だと思うんです。大事にするから大事にされるし、飛び込んで行くから受け止めてもらえる。『私、そういうの大丈夫なんで』と冷めたことを言わないで(笑)。一度その殻を破って、こんな風に働いてみてもいいかも、なんて思っていただけたらうれしいです!」という波瑠さんのまっすぐな言葉が久瑠美と重なる。
それもそのはず、小説の原作者・小森陽一さんは、当初からヒロインに波瑠さんをイメージしていたそうだ。なにしろ、ヒロインの名前が波平久瑠美なのだから。
熊本の人々の温かさを感じて
これまで数々のドラマで主演を務めている波瑠さんだが、意外なことに全国一斉公開規模の大作映画の主演は初めてとか。それだけに本作にかける思いは強い。衣装に関しても積極的にアイデアを出したという。
「久瑠美は配属された当初、東京のプライドが捨てきれず、ガウチョパンツを履いて仕事をしていますが『そういうことじゃない』と気づいてからは、みんなと同じように動きやすい細身のパンツに変わっていくことで心境の変化が表せるんじゃないかなと」
さらに赤・青・黄色の原色がまぶしいグリーンランドの制服について。
「最初は『スゴイな、これか!』と。しかも、最初はボタンを通せないくらいにパリパリで堅かったのが、ある日ふと気づいたら自分の着心地に馴染んでいて、こんなに楽な服だったのかと感動しました」とキュートな笑顔を見せる。それほど役に馴染んだのかも!?
撮影は、ほぼ熊本のグリーンランドで。しかも営業中に堂々と敢行された。
「夏休みで、お金を払って遊びにきている方々には本当に申し訳なかったのですが、嫌な顔する人はほとんどいなくて、熊本の方ってあったかいなと感じました」と波瑠さん
「かつてここまで協力してくれたロケ地があったか?」と製作陣も驚いたグリーンランドの万全の協力体制、エキストラとして多数登場する熊本のみなさんなど、今なお復興中の熊本の優しさとエネルギーを随所に感じられる作品に仕上がっている。
西岡裕子=文
text:Hiroko Nishioka