ディズニーの名作で歌唱シーンに初挑戦!
1964年、世界的に大ヒットを博したディズニーのミュージカル映画『メリー・ポピンズ』が55年ぶりにスクリーンに蘇る。主人公は、ちょっと“上から目線”でエレガントな魔法使いの女性、メリー・ポピンズ。幸せを運ぶ彼女の魔法と印象的な音楽やパフォーマンスは観る者を魅了し、すでにファンも多いことだろう。
舞台は前作から25年後にあたる30年代のロンドン。メリー・ポピンズが舞い降りたのは、母を亡くした悲しみから抜け出せずにいるバンクス家。3人の子供を持つシングルファザーのマイケル・バンクスを日本語吹替で演じた谷原章介さんが、本作について語った。
「僕も父親であるのでこの作品が大好きです。親が子を思う気持ちや、子が親を思う気持ち、そういったところに感動して、最後はすごく幸せになれました」。吹替え収録現場では全世界のディズニー声優を監修する最高責任者、リック・デプシーと対面し、彼も「そうだろ!僕は全部感動して泣くんだよ!」と言って言葉を交わしたそう。リックほどの人物が、各国の現場に立ち合うのは異例のこと。それほどディズニーにとって『メリー・ポピンズ』は特別な作品のようだ。
リックは谷原さんに関して「マイケルの“父親としてのあるべき姿”、そして自然と彼の中から出る“優しさ”の両方を表現している」と大絶賛。しかし谷原さんは洋画の吹き替えもミュージカル映画も、実は今回が初めて。
「いやあ、難しかったですねえ。マイケルは常に悩みを抱えているキャラクターでしたし、歌いながら心情を表現するのは大変でした」と言う谷原さんだが、初めてとは思えない彼のナチュラルで優しい歌声に、心を掴まれる人は多いはず。
映画『メリー・ポピンズ リターンズ』
監督:ロブ・マーシャル
出演:エミリー・ブラント、リン=マニュエル・ミランダ、ベン・ウィショー、コリン・ファース、メリル・ストリープ 他
完全日本語吹替版 声の出演:平原綾香、谷原章介 他
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
◎中洲大洋、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ福岡ももち 他にて公開中
子供心を忘れた大人へ人生を楽しむヒントを
子供の頃、父親に観せてもらっていた前作も大好きだったと話す谷原さん。不朽の名作『メリー・ポピンズ』が世代や時代を超えて愛される理由とは何だろう?
「子供が観てもそのまま楽しめると思いますが、大人も子供の頃に描いていた夢とか願望のようなものはずっと無くしていないと思うんですよね。この作品を観ると、それを思い出すのではないでしょうか。ああ、本当はこうしたかったなあ、こうだったらいいなあという思いを。だから、子供だけでなく大人も楽しめる作品なんだと思います」。
今回演じた役柄は、自身と似ている点もあったとか。
「子供心を忘れてしまっているところ。これも彼の中に無いわけじゃないんですよ。持ってはいるんですけど、現実の、家族を守る為という理由で見えなくなっている。僕も時に家族の為にと思ってシャカリキになって働いたりすると、本当は子供たちを楽しませたくて頑張っているつもりが、いざその子たちに対して『いやお父さん忙しいんだから、ちょっと今勘弁してくれよ』という気持ちを持ってしまったり…」。
そこで現れるのがメリー・ポピンズ。人生を楽しむヒントがたくさん詰まったメリー・ポピンズの魔法を、大人になったあなたも劇場で体感してみて。
三宅瑠津子=文
text:Rutsuko Miyake