英米混成スーパートリオの記念碑的ジャパンライヴ
ジェフ・ベックは自身の音楽を追求することに安住することなく、常にグループを組むメンバーを探すのに躍起となっていた。彼は、ヴァニラ・ファッジのリズムセクションの重量感に圧倒され、カーマイン・アピスとティム・ボガートの2人にオファーをかけて、彼らが解散したことをきっかけにトリオを組む予定となる。
だがその矢先、ジェフが瀕死の自動車事故を起こし、構想は一度断念。2年後やっと念願が叶い、72年結成と同時にアルバムを制作し、クリーム等の流れを継ぐスーパートリオとしてもてはやされた。翌年は世界ツアーの一環で来日した大阪公演の模様が2枚組で発売。「黒猫の叫び」「スウィート・スウィート・サレンダー」、カーティス・メイフィールドの「アイム・ソー・プラウド」、スティービー・ワンダーの「迷信」など、スタジオ盤の比ではないステージならではの迫力あるサウンドを展開する。願わくは強力なヴォーカリストさえいれば…ということだが、多くの「ライヴインジャパン」が残された中でも本作はパワフルで、トリオでの可能性をはるかに超えるロック史上に刻まれたモニュメントとして存在している。
昨年末発売45周年記念としてオリジナル日本盤LPで復刻されているから嬉しい話題である。
相川 潔
元広告会社社員・長崎市生まれ熊本市在住。
ジャズ、ロック、ソウルなどのレコードを追い求めて数十年。名盤、奇盤多数。
レコードは盤、ジャケット、再生機を含めて楽しむべき芸術だと思います。