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久留米市美術館『生誕130年記念 髙島野十郎展』

久留米市美術館『生誕130年記念 髙島野十郎展』

~4月4日(日)


生まれ故郷で10年ぶりの回顧展 心を照らす孤高の画家の魅力満載

 一筋の光明は、先の見えない暗闇で人の心に希望と安らぎを与えてくれます。髙島野十郎はロウソクや月、太陽をモチーフに光を描きました。

 左に紹介した『蠟燭』は、同じテーマで40点ほど確認されています。ほとんどが週刊誌より一回り小さいサイズです。すべてが未発表なのは、感謝の気持ちを込めた親しい人への贈り物だったからです。ノーベル賞を受賞した吉野彰さんの心に科学の火を灯したのもロウソクでした。ゆらめく炎が伝える暖かさとともに、計り知れない広がりも感じます。

 野十郎は1890(明治23)年に現在の久留米市東合川で生まれ、東京帝大農学部水産学科を首席で卒業しました。しかし、美術の夢を捨てきれず、独学で絵の道を究めます。青木繁や坂本繁二郎、古賀春江など、日本画壇の錚々たるメンバーを生み出した久留米という土地柄も、決断を後押ししたと考えられます。

 昭和へと時代が変わり、1930年に40歳で渡欧。3年間に渡ってヨーロッパ各地を巡り、写生の腕を磨きました。紹介するもう1点の『梨の花』は、のどかな田園風景を描いた作品です。白い花をつけて放射状に広がる枝やうねるように曲がる道路の描き方に、フィンセント・ファン・ゴッホの影響を見ることができます。

 戦争で福岡に疎開しますが、戦後上京した野十郎が目にしたのは、復興から高度経済成長へと加速する中で、大きく変貌していく首都圏の姿でした。下段の展覧会のポスターにも使われている『菜の花』は、75歳の頃に訪れた武蔵野が題材です。大地からすっきりと立ち上がった茎の上に咲く無数の黄色い花には、春の息吹が満ちています。野十郎の脳裏には、筑後川の春の河川敷の風景が呼び起こされていたかも知れません。

 孤高の画家の足跡をたどる展覧会で、心のともし火を見つけては如何でしょうか。

《蠟燭》1948年以降 久留米市美術館

《梨の花》1930-33年 一般財団法人 恵愛団


繁竹治顕
元NHK記者。’93年全米オープンゴルフ、’94年リレハンメル冬季五輪、2000年シドニー五輪などを取材。福岡放送局広報事業部長、副局長。現在、九州国立博物館振興財団専務理事。西南学院大学非常勤講師(ジャーナリズム)

福岡近郊博物館・美術館のスケジュール

※( )内の料金は、特別・前売り・団体料金、詳細はお問合せください

九州国立博物館

奈良 中宮寺の国宝

~3月21日(日)
●一般  1,800円
●高大生 1,200円
●小中生 800円
休館日/月曜
☎050・5542・8600(ハローダイヤル)
※オンラインによる
 事前予約が必要です。

久留米市美術館

生誕130年記念 髙島野十郎展

《菜の花》1965年頃 個人蔵

~4月4日(日)
●一般   1,000円(800)円
●65歳以上 700円(500)円
●大学生  500円(300)円
●高校生以下無料
休館日/月曜
☎0942・39・1131

福岡アジア美術館

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