愛煙家に多いという、COPDってどんな病気?
担当医 国立病院機構福岡病院 名誉院長
久山療育園重症児者医療療育センター 理事
センター長 医学博士 岩永 知秋先生
「COPD」は慢性閉塞(へいそく)性肺疾患と呼ばれる肺の炎症です。生活習慣病の一つに挙げられていますが、残念ながら認知度はあまり高くありません。原因の90%以上が喫煙によるものです。60歳以上の男性に多い病気なのでぜひ覚えておいてください。
肺胞が壊れる肺気腫や気管支が狭くなる慢性気管支炎が合わさったものと考えてください。
原因は喫煙が大部分ですが、ほかに受動喫煙や大気汚染が考えられます。炎症だけでなく老化などのメカニズムも働くものと考えられています。
症状としては、坂道や階段の上り下り、重いものの上げ下ろしの際に息切れをする、あるいは、せき、たんなどの症状が見られます。風邪などをきっかけに、急に悪化するので要注意です。
重症化すると酸素が不足し呼吸不全になることがあります。有害な物質が肺から血液を通じ全身をめぐるため、狭心症、心不全、心筋梗塞などを引き起こす可能性も。骨粗しょう症、うつ病と関係するともいわれています。低栄養になったり、筋肉量が落ちたりもします。
一番の予防法は禁煙です。治療法は二つあります。一つ目が薬物療法です。気管支を拡張する薬を吸入器で服用する方法が主になります。ぜんそくの合併がある人は吸入ステロイド薬も有用です。二つ目は非薬物療法です。呼吸器の機能を回復させるリハビリテーションを行います。呼吸に関わる筋力や足腰の運動トレーニング、腹式呼吸や口をすぼめる呼吸法などです。
COPDになると感染しやすいのでインフルエンザ、肺炎球菌のワクチン接種をするようにしてください。症状が強くなくて自覚がない人もいます。冬場、気管支炎になって初めて息苦しさを感じCOPDと分かることもあります。特に、60歳以上で喫煙歴が20年を超える人は注意が必要です。一度は肺活量を測る呼吸機能検査を受けることをおすすめします。
協力:福岡市医師会