起床時に手足のこわばりがあり動かしにくい。関節に痛みがあり指を曲げられない。中高年の方はこうした症状を経験したことがあると思います。関節が痛んでこわばりを感じた時「リウマチでは?」と考える人がいます。しかし、関節痛=リウマチではありません。症状が似ていても、リウマチとは異なる病気がいろいろあります。知っておくと、受診の時に役立つと思います。
■変形性関節症
軟骨がすり減って骨と骨がぶつかり痛みを生じます。全身の関節に起こりますが、頻度が高いのが膝と手指。加齢に伴うもので、指先から数えて一番目の関節に起こるヘバーデン結節はよく知られています。
■腱鞘炎(けんしょうえん)
指の付け根や手の平のすじに痛みや腫れを生じます。スマートフォンの長時間利用、家事やスポーツなどで手首を酷使した結果、発症するケースがあります。
■痛風
典型例は足の親指の付け根に発症することが多く、アキレス腱の付け根、膝や手にも関節炎が生じます。風が吹いただけでも痛むほどの激痛が特徴。血液中の尿酸値が上昇して起きます。アルコールがリスク要因となります。
■更年期障害
女性は50代で閉経すると、エストロゲン(女性らしさをつくるホルモン)の数値が大きく下がります。その結果、関節痛や倦怠感などに見舞われます。症状がひどい場合、ホルモン補充療法をするケースがあります。リウマチであれば、ホルモン補充では回復しないので、病気を見極めるポイントになります。
■リンゴ病(伝染性紅斑)
ウイルス感染症で子供はほおが真っ赤になり、発熱します。母親にうつると関節痛、皮疹などリウマチや膠原病に似た症状が出ることがあります。
■関節リウマチ
関節の内側にある滑膜に炎症が起こる病気がリウマチです。放置すると、関節破壊につながる恐れがあります。リウマチはいろんな部位が痛む「多関節炎」です。指先から数えて二番目の関節と付け根の痛み、最初は左の手首が痛かったのがその後、右の手首も痛み出す。こうした症状が出たらリウマチを疑います。
最近は優れた抗リウマチ薬があるので手術の件数は減っています。痛みを感じたら早めに専門医に相談しましょう。
担当医
井上内科医院
井上 久子 先生
協力:福岡市医師会