■コッペパンの列車が線路を疾走!ユーモアあふれる作品タイトル
想像力の賜物でしょう。食品や文房具など家庭にある身近な素材を使って、CGとは一味違った立体感を演出しています。
左の写真『クモワッサン』は、クロワッサンの雲が青空に浮かび、雲の上には、本を読んだり子どもが仲良く遊んだり、だんらんする家族やグラスを交わして歓談するグループも見えます。雲の間には鳥も飛んでいます。でも、それぞれの雲は独立した空間です。
学校給食の定番だったコッペパンは、新幹線の列車になりました。その名も『新パン線』。乗客は薄切りのパンのホームに並んでいます。会場では1周5メートルほどの楕円形の線路をパンの列車が走ります。
どの作品にも共通するのは、思わずクスッと笑ってしまうタイトルのネーミングです。『問題の解き方は人それぞれ』は、分厚い本の壁を、付せんを手掛かりによじ登る人たちが表現されています。人工の壁を登る速さを競うスポーツクライミングは、東京五輪で日本選手が活躍したこともあって、人気が高まりました。人間のチャレンジ精神と新しいスポーツをうまく掛け合わせています。
制作者の田中達也氏は、6年前のNHKの朝の連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルで、お馴染みになりました。毎日新作を撮影しインターネットで発表していて、インスタグラムのフォロワーは370万人以上と世界的な人気を誇ります。文化や言葉の違いを乗り越えて、共感しあえるのも魅力です。
ミニチュアの実物と写真パネルを含めて展示は約150点、高さ2メートル余りの巨大なブロッコリーの下で、自分がミニチュアになったような写真が撮影できるコーナーもあります。福岡限定の新作品は会場で初めてお披露目とのこと、どんな作品か心躍ります。
期間中は、本物そっくりの食品サンプルやミニチュアガーデンを作るワークショップも開催されます。夏休みに家族連れで鑑賞するにはもってこいです。
新パン線
ⒸTatsuya Tanaka
クモワッサン
ⒸTatsuya Tanaka
問題の解き方は人それぞれ
ⒸTatsuya Tanaka
繁竹治顕
元NHK記者。’93年全米オープンゴルフ、’94年リレハンメル冬季五輪、2000年シドニー五輪などを取材。福岡放送局広報事業部長、副局長。現在、九州国立博物館振興財団専務理事。
福岡近郊博物館・美術館のスケジュール
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■九州国立博物館
特別展 憧れの東洋陶磁-大阪市立東洋陶磁美術館の至宝-
~9月3日(日)
●一 般…1,700円
●高大生…1,300円
●小中学生…900円
休館日/月曜(※8月14日(月)は開館)
☎050・5542・8600(ハローダイヤル)
国宝 油滴天目
中国・建窯 南宋時代 12〜13世紀
大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)
撮影:六田知弘氏