様々な標本から自然界の不思議を考える100年余の宝の山を発掘しよう!
膨大なコレクションを身近に体験できる、またとないチャンスです。箱崎に残る九州大学総合研究博物館は、動植物や鉱石など約155万点もの標本を所蔵していて、今回はその中から選りすぐった“出前”展覧会です。
西日本屈指を誇るのが、鉱物のコレクションです。怪しく輝く下の写真の緑色の鉱石は孔雀石(くじゃくいし)です。色や模様が孔雀の羽根のように見えることからその名がつきました。奈良の大仏に使った銅を採掘した秋吉台近くの長登(ながのぼり)銅山(山口県美祢市)で、大量に産出しました。緑色は緑青と同様、銅が酸化したもので、古代エジプトではクレオパトラがアイシャドーに、日本では狩野派が日本画の顔料として好んで利用したといわれます。
また、佐渡金山・岩見銀山に代表される金銀銅などの鉱物資源も、かつては日本から世界に輸出されていました。こうした日本の鉱山技術についても展示されています。
昆虫をはじめ動植物の標本も多彩です。写真は水族館でお馴染み、南米に生息するフンボルトペンギンの骨格標本です。空も飛べず、歩く姿もぎこちないのですが、水の中を自由自在に泳ぎ回ります。それを可能にしたのが潜水に適した足の骨です。骨格は進化を知るための重要な手掛かりで、魚類や両生類、爬虫類、哺乳類など様々な生き物の骨格がご覧いただけます。
大学の先生ゆかりの品もあります。昭和レトロの雰囲気が漂う木製の両袖机は、文学部考古学教室の教授が代々使っていたもので、1940年ごろの製品と思われます。九大が伊都キャンパスに移転して家具類はすっかり新しくなりましたが、こうした備品は戦前からの大学生活を物語るもので、作りもしっかりしていて、デザインやインテリアの歴史を研究する上でも大切です。一部はカフェやミュージアムに貸し出されていて、今回は机やいすを修繕したり塗り直したりするワークショップも予定されています。
100年以上も前から蓄積されてきた九州大学の宝の山を、この夏休みに発掘しては如何でしょうか。
孔雀石
フンボルトペンギンの骨格標本
両袖教授机
繁竹治顕
元NHK記者。’93年全米オープンゴルフ、’94年リレハンメル冬季五輪、2000年シドニー五輪などを取材。福岡放送局広報事業部長、副局長。現在、九州国立博物館振興財団専務理事。
福岡近郊博物館・美術館のスケジュール
※( )内の料金は、特別・前売り・団体料金、詳細はお問合せください
■九州国立博物館
沖縄復帰50年記念 特別展 琉球
~9月4日(日)
●一 般 1,900円
●高大生 1,200円
●小中生 800円
休館日/月曜(8月15日(月)は開館)
☎050・5542・8600(ハローダイヤル)
■福岡市科学館
ヒコーキ展 -空に駆ける情熱-(後期)
~8月28日(日)
●一 般 900円
●高校生以下 400円
●未就学児 無料
※夏休み期間中の7月22日~8月26
日は毎日開館
☎092・731・2525
■大野城心のふるさと館
特別展 「九大のお宝、み〜つけた!「知」のワンダーランドへようこそ」
~9月4日(日)
●一 般 400円(350円)
●小中高生 100円(50円)
※( )内は、ここふる友の会会員、
20名以上の団体料金
休館日/月曜(祝日の場合は翌平日)
☎092・558・5000
■佐賀県立美術館
錯覚のふしぎになんで?どうして?どがんなっとっと展
7月22日(金)~9月4日(日)
●一 般 1,000円(900円)
●高大生 800円(700円)
●小中生 500円(400円)
休館日/月曜
☎0952・28・2151
■大分県立美術館
国立国際美術館コレクション 現代アートの100年 ハロー、アート!世界に夢中になる方法
ヴァシリー・カンディンスキー
《絵の中の絵》 1929年
~8月21日(日)
●一 般 1,200円(1,000円)
●高大生 1,000円(800円)
休館日/開催中なし
☎097・533・4500
●新型コロナウィルス感染拡大防止のため、休館・展覧会が中止・延期される場合があります。
お出かけ前に各施設のホームページなどで確認してください。