『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』
監督:野口照夫(実写パート)・山本清史(エオルゼアパート)
脚本:吹原幸太
原作:「一撃確殺 SS 日記」(マイディー)/ファイナルファンタジーXIV(スクウェア・エニックス)
出演:坂口健太郎、吉田鋼太郎
配給:ギャガ
◎6月21日(金)よりユナイテッド・シネマキャナルシティ13ほか全国公開
ゲームで深まる絆?感動の実話が映画化
“イクメン”なんて言葉がない時代、ひたすら仕事に邁進し、子供と向き合ってこなかったという男性も多いのでは?子供が成人した今でもどう接していいのかわからないという声も聞く。そんな人にこそ観てもらいたい映画、『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』が6月に公開される。人気ブログに綴られた実話の映画化だ。
物語は仕事一筋だった父が突然会社を辞めたことから始まる。一日中テレビを観ている父の思いを知りたい息子はある計画を思いつく。子供の頃、唯一一緒に遊んだゲーム「ファイナルファンタジー」のオンラインゲームに父を誘導し、ゲームの世界を共に冒険しようというものだった。それも自分の正体を隠して。それぞれのプレイヤーがゲームのキャラクターに扮した名前も顔もわからない世界だからこそ、本音で話せるのではないか―。
無口な父・暁役を演じた吉田さんにお話を伺った。
「私は舞台で“王様”のような役を演じることが多いのですが、暁は王様の存在感ではないんです。“市井のいちお父さん”の存在感なので、僕はこのお父さんに向いているのだろうかと不安を抱きながらの撮影でした」と、意外な胸の内を明かす。
「いつもとは違い、無我夢中でこの寡黙な役を演じて、カメラにどういう風に映っているのか、どういう演技をしたのか本当に分かっていなかったですね。初めての体験といっていいくらい過酷な人柄の役でした」。
子への不器用な愛に自分を重ねて
この映画に深みを出しているのが、ときおり映し出される暁と息子・アキオの思い出のシーン。一緒に遊んだ日、約束を守れなかった日、陰ながら見守った日…。実話ならではのリアリティある父子の描写が胸を打つ。吉田さんにとっても、少年アキオとのシーンが「一番気持ちが震えた」撮影だったそう。
「少年時代は無邪気で何でもお父さんに喋って、でもお父さんの方はなかなか気持ちを表わせない。それでも息子の靴紐を結んであげたりしてね。少年アキオ君と撮影をした日の夜、今度は高校生になったアキオとの撮影だったのですが、当然アキオ役は大きくなっている。自分の子供のことも重ねて、よくぞこんなに立派になってくれたという思いと、何かしてあげたかったのに何もしてあげられなかったという思いが交錯しました。非常に居たたまれない気持ちになった日でしたね。僕に限らず、世の中のお父さんたちは、そういう忸怩たる思いや後悔でいっぱいだと思うんですよ。僕も息子に対してそういう思いはありますので、大変共感できました」。
不器用な暁の奮闘ぶりに笑って、涙するうち、あなたもスクリーンに自分や家族の姿を投影しているはず。