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福岡市美術館 ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

福岡市美術館 ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

12月23日(木)~2022年2月13日(日)


南仏最後の傑作〈糸杉〉16年ぶりの来日 美術館を創設した女性収集家の審美眼に注目!

 確かな審美眼で、時代の荒波を乗り越えた女性がいました。ドイツ出身のへレーネ・クレラー=ミュラーが、絵画の収集を始めたのは1907年、38歳の時です。しかし7年後に第一次世界大戦が勃発、世界恐慌と続く激動の時代を迎えます。ヘレーネは資金難を克服して収集を続け、1938年に開館したクレラ―=ミュラー美術館の初代館長に就任しました。今回の展覧会は彼女のコレクションが中心です。

 フィンセント・ファン・ゴッホの世界最大の収集家として知られるヘレーネは、評価が定まらないうちから、質の高い絵を選んで買い集めました。油絵を始めて間もないオランダ時代の作品のひとつが、左に紹介している『白い帽子を被った女の顔』です。沈んだ色調の表情から、刻まれた人生を感じ取ることができます。日本は文明開化の真っただ中、フランスはエッフェル塔が建設された頃で、多くの農民や労働者は苦難の生活を強いられていました。

 暗い色調は、パリに移り印象派の画家たちとの交流を通して次第に変化します。更に地中海に近い南フランスに向かったファン・ゴッホは、アルルでポール・ゴーガンと共同生活を始めます。『黄色い家(通り)』はふたりが暮らした家を描いた作品で、レモンイエローの明るい画面からは地中海の香りが漂ってきそうです。しかし、共同生活はわずか2か月で破綻し、神経を病んでしまいました。

 37歳で亡くなる最晩年の作品が、ポスターにも使われている『夜のプロヴァンスの田舎道』(通称〈糸杉〉)です。日本での公開は16年ぶりです。画面中央に大きく伸びる糸杉は、ひまわりとともに多く描かれたモチーフで、65もの作品に登場します。糸杉は街路樹やクリスマスツリーに使われるとともに、死や喪の象徴とされ墓地にも植えられます。この相反するイメージが、晩年のファン・ゴッホを惹きつけたのでしょうか。

 世界が激しく揺れ動いた時代にヘレーネの心を魅了したファン・ゴッホの芸術性は、コロナ禍の現代人にも新たな魅力を見せてくれそうです。

フィンセント・ファン・ゴッホ《白い帽子を被った女の顔》
1884年11月-1885年5月 クレラー=ミュラー美術館蔵
ⒸKröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands

フィンセント・ファン・ゴッホ《黄色い家(通り)》
1888年9月 ファン・ゴッホ美術館
(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
ⒸVan Gogh Museum, Amsterdam
(Vincent van Gogh Foundation)

フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》
1890年5月12-15日頃 クレラー=ミュラー美術館蔵
ⒸKröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands
※下部スケジュール欄『ゴッホ展』ポスター画像も同じ


繁竹治顕
元NHK記者。’93年全米オープンゴルフ、’94年リレハンメル冬季五輪、2000年シドニー五輪などを取材。福岡放送局広報事業部長、副局長。現在、九州国立博物館振興財団専務理事。西南学院大学非常勤講師(ジャーナリズム)

福岡近郊博物館・美術館のスケジュール

※( )内の料金は、特別・前売り・団体料金、詳細はお問合せください

九州国立博物館

特集展示 琉球王国文化遺産集積・再興事業 巡回展 手わざ―琉球王国の文化-

~12月12日(日)
●一 般 700円
●大学生 350円
●高校生以下満70歳以上無料
休館日/月曜
☎050・5542・8600(ハローダイヤル)

福岡市美術館

ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

12月23日(木)~2022年2月13日(日)
●一 般 2,000円
●高大生 1,300円
●小中生 800円
休館日/月曜、12月30日(木)〜
1月1日(土)
※月曜が祝日・振替休日の場合は、
翌平日が休館日 ☎092・714・6051

佐賀県立佐賀城本丸歴史館

大隈重信没後100年・ 鉄道開業150年記念特別展 陸蒸気(おかじょうき)を海に通せ!

~22年1月23日(日)
●観覧無料
休館/12月29日(水)~1月1日(土)
☎0952・41・7550

大分県立美術館

相田みつを全貌展 ~いのちの尊さ ことばのチカラ~

相田みつを《いのちいっぱい》1991年

11月26日(金)~22年1月23日(日)
●一 般   1,200円(1,000円)
●高大生   800円(600円)
●小中生   500円(300円)
休館/なし
☎097・533・4500

北九州市立美術館 本館

ロートレックと ベル・エポックの巴里‐1900年

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
《ディヴァン・ジャポネ》
1893年 個人蔵

12月18日(土)~2022年2月6日(日)
●一 般  1,200円(1,000円)
●高大生 800円(600円)
●小中生 600円(400円)
休館日/月曜・年末年始
※月曜日が祝日・振替休日の場合は
翌平日が休館日
☎093・882・7777


●新型コロナウィルス感染拡大防止のため、休館・展覧会が中止・延期される場合があります。
 お出かけ前に各施設のホームページなどで確認してください。

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