無理は禁物!脱水症に要注意
担当医 入江内科小児科医院
院長 入江 尚先生
この季節、メディアで多く取り上げられる脱水症ですが、“自分は大丈夫”と過信してはいませんか?脱水症は、水分と塩分などからなる体液が減少することにより、目眩、ふらつき、意識喪失などの中枢神経症状や、手足が痙攣する末梢神経症状を引き起こします。また、口渇状態が続けば味覚障害が起きて食欲不振に。放っておけば死に至る、そのケースが極めて多いのが高齢者と乳幼児です。
高齢者が脱水症になりやすい原因の一つは、老化により喉の渇きに対する感覚が鈍くなること。もう一つは、頻尿をきたすため水分補給を控えがちになることです。さらに、病気による高熱や嘔吐・下痢、夏場の発汗なども、体温調節ができにくくなる高齢者には注意すべき要因になります。
脱水症を防ぐために最も重要なポイントは、無理をしないこと。30度を超える炎天下での行動は控え、屋外での活動は日の当たらない早朝や夕方に。屋内でも我慢せず冷房を活用しましょう。また、こまめな補水も重要です。高齢者でいえば1日2ℓ以上の水分摂取が必要といわれていますが、その内1ℓは朝昼夕の食事で摂取できるため、あと1ℓ以上を目標に定期的に補給することがポイントです。ところが、水ばかりを飲んでいると、体液中のナトリウムが低下して脱力感を催す「水中毒」になる恐れも。そうならないためにも、水を細胞の中に取り込む力を持った塩分(ナトリウム)と、小腸における水の吸収を促進する糖分も合わせて摂取するようにしましょう。利尿作用が強いアルコールやカフェイン飲料よりも、経口補水液やスポーツドリンクでの水分補給がおすすめです。
上のイラストにあるような脱水症のサインは、本人が気づかなくても周囲の人が気づいてあげることもできます。脱水症状が出ても、点滴できちんと管理すれば回復するので、一度病院で受診するようにしましょう。
協力:福岡市医師会