
総務省の2024年の「人口推計」によると、日本の高齢者(65歳以上)は3625万人、総人口に占める割合は29.3%で世界1位です。平均寿命(厚労省、2023年)は男性が81.09歳、女性が87.14歳。認知症の最大の原因は加齢であり、認知症は誰にでも起こりうるものです。
認知症は原因となる疾患によって大きく三つに分類されます。アルツハイマー型認知症は老化に伴って生じる物質が脳の神経細胞にたまることによって、血管性認知症は脳梗塞や脳出血などで起こります。レビー小体型認知症は、脳の神経細胞の中に異常な物質がたまることで発症します。
現代の医学では認知症を完全に予防することは不可能です。しかし、認知症になりにくい生活習慣や食生活などが徐々に分かってきています。世界保健機関(WHO)の「認知症予防ガイドライン」を参考に認知症予防に効果的な取り組みを紹介します。
年を取ると家に閉じこもりがちになりますが、外に出る機会を増やしましょう。第一にお勧めしたいことがウオーキングです。近所の散歩や買い物だけでも構いません。外を歩くことで脳が活性化されます。日光を浴びることで骨も強くなります。
人と交流して会話をすることも重要です。会話は脳と口を動かすトレーニング。近所の人とあいさつを交わし、買い物の際、店員さんと会話することで思考力が鍛えられます。
血管性認知症は、脳の血管のつまりや破損などで発症します。ですから、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病にならない生活、あるいは生活習慣病をしっかりとコントロールする生活を心がけましょう。例えば、食事は塩分を控えめにすることなどが挙げられます。
聴力が低下すると、脳に入る情報が少なくなって神経細胞の活動が衰える可能性があります。補聴器などを利用して、難聴対策をすることが認知症の予防につながります。
バランスの取れた食事はとても大切です。これは認知症だけでなく生活習慣病の予防にも効果的。肉、魚、緑黄色野菜など何でも食べることで骨折のリスクも減らせます。最後になりますが、アルコールは認知症を引き起こす大きなリスク要因。毎日の晩酌はやめて、最低、週に2日以上、休肝日を設けることをお勧めします。

担当医
かしい心療クリニック
早渕 雅樹先生
協力:福岡市医師会