ストレスが多い現代社会において「頭が痛い」という症状でお悩みの方は多いと思います。それは「悩みが多い」という場合もあれば、若いころから繰り返す発作的な頭痛、初めて経験する激しい頭痛などさまざまな「頭痛」があります。一言で「頭痛」といっても原因はさまざまで、ちょっとした治療で治ることもあれば、命にかかわることもあります。
「頭痛」で最も多いのは、頭や首周辺の筋肉の緊張で起きる「筋収縮性頭痛」というものでしょう。この原因の多くは、ストレスや姿勢の悪さ、長時間のスマホいじりなど生活習慣から起こり得ます。一般的な鎮痛薬で治まることが多いのですが「若いころから拍動する片側性の激しい頭痛で寝込んでしまうことがある」という場合は、少し違います。多くは「片頭痛」と呼ばれるもので、神経伝達物質や血管の炎症などが原因といわれています。目の前がチカチカする前兆が見られることも多いです。
片頭痛の場合は、特定の予防薬や発作に対する治療薬がありますので対応が変わってきます。よく「私は片頭痛持ちです」と言われる方がおられますが、実際は筋収縮性頭痛の場合が多く、両者が混在していることもあります。また、眼の周囲に激しい頭痛が数週から数カ月起きる「群発頭痛」などもあります。
これらの頭痛は、慢性的に同じような症状を繰り返している慢性頭痛といわれる頭痛で通常、命に別状はありません。俗に「頭痛持ちの頭痛」といわれるものです。他にも鼻や額の奥に重い痛みがある場合は、副鼻腔炎の可能性があります。頭の表面がビリビリするというときは三叉神経痛の可能性があります。
気を付けなければならないのは経験したことのないような激しい頭痛が起こった場合です。特にそれが急速に悪化するときは、脳出血やくも膜下出血など命にかかわる危険な頭痛の場合があります。そのときは救急対応が必要になります。
このように、さまざまな頭痛があります。鑑別診断と適切な治療で改善することも多いので、頭痛でお悩みの方は脳神経内科や脳神経外科など専門医の受診をお勧めします。
担当医 村上華林堂病院 理事長
菊池仁志先生